種なしスイカはどうやって作るの?

普通のスイカは2倍体

店頭でたまに見かける種なしスイカ。いったいどのようにして作られているのでしょうか。

これには染色体が関わっています。染色体とは遺伝情報を伝えるもので、多くの生物は染色体を2組持つ「2倍体」です。2倍体の果物は、母親(めしべ)と父親(花粉)が2組ずつ染色体を持っています。そしてそれらが受粉すると各親から1組ずつの染色体が子どもに伝わり、その子どもも親と同様に2倍体になるということです。

種なしスイカは3倍体

さてスイカです。普通の種ありスイカは2倍体なのですが、芽が出た頃に「コルヒチン」という物質を使用すると、なんと2倍体から4倍体になるのです。そして4倍体のスイカのめしべに2倍体のスイカの花粉を受粉させると子ども(種)は3倍体になります。この3倍体のスイカの種を育てると種なしすいかができるというわけです。どうして種ができないかというと、3倍体だと正常に減数分裂ができないからです。もちろん種がないため子孫は残せず、この代で終わりです。

種なしビワも3倍体

ちなみに種なしビワの「希房」も3倍体です。希房は「田中(4倍体)」×「長崎早生(2倍体)」を掛け合わせて育成された品種です。ただしそのままでは実がつかないので、種なしぶどうと同じくジベレリン処理を行うことで果実を着果・肥大させています。

なお、りんごにも「ジョナゴールド」「陸奥」「北斗」など3倍体の品種があります。これらは種入りですが、花粉に生殖能力がありません。また、そのほかにも4倍体や6倍体などの果物もあります。