バナナの保存方法

バナナは入手したときの熟し具合によって日持ちが違ってきます。果実がかたく軸が青々としたバナナは日持ちしますが、熟してシュガースポットが出ているバナナは日持ちしません。どのように保存すれば長持ちさせることができるのか、そもそもバナナを冷蔵保存してもよいのかなどを見ていきましょう。

冷暗所で保存する

バナナは基本的に常温で保存します。ただし気温の高い部屋に置いておくと鮮度の低下が早まりどんどん黒くなっていくので、なるべく涼しい場所に置いておくようにしましょう。特に夏場は直射日光を避け、できるだけ冷暗所での保存を心がけてください。

保存する際は、房の盛り上がった側を上にして置いておくのがポイントです

かたいバナナは常温で追熟

軸に緑色が残っていたり、果皮にシュガースポットと呼ばれる黒い点々が出ていないバナナは、果肉がかためで酸味も少し残っています。しばらく常温で追熟させてから食べましょう。さっぱりした味が好みならこの状態でもかまいませんが、追熟させたほうが甘味が増して口当たりもよくなります。

追熟にかかる日数は、バナナの状態や気温にもよりますが、早ければ2~3日くらい、遅い場合は1週間程度です。追熟が進むことでシュガースポットが出てきます。

なお、モンキーバナナ(セニョリータ)のように完熟してもシュガースポットが出ない品種もあります。この場合、軸の青みが取れて果皮全体が濃い黄色になったら熟した状態です。

果皮の黄緑色が消えて黄色が濃くなり、黒いシュガースポットが出てきたら食べ頃です

シュガースポットが出たものは早めに消費

熟したバナナは早めに食べ切りましょう。シュガースポットが出始めた頃であれば常温保存でも大丈夫ですが、黒い部分が増えてきたら日持ちしません。食べ切れない場合は下で紹介する方法で冷蔵庫で保存するとよいでしょう。

バナナ(インドネシア産)

このようにシュガースポットが出始めたバナナは果肉がやわらかくなっていてあまり日持ちしません

ラップして冷蔵保存すれば日持ちアップ

バナナは冷蔵保存することもできます。冷蔵する際は、房ごとではなく1本ずつにばらして保存するのがおすすめです。個別にラップでぴったりと包み、冷蔵庫の野菜室へ。さらに新聞紙で包んでもよいでしょう。状態がよければ1週間~10日くらいは日持ちします。ただし、シュガースポットが多く出ている場合は2~3日を目安に食べきるようにしましょう。

なお、熟したものを冷蔵すると皮が徐々に茶色っぽく黒ずみます。一見すると傷んでるようにも見えますが、皮が変色していても果肉が白い状態であればおいしく食べられます。

1本ずつラップで包んで冷蔵庫の野菜室で保存すると日持ちします

常温vs冷蔵庫で約2週間バナナの日持ちを検証

実際にバナナを冷蔵保存すると、どれくらい長持ちするかを実験してみました。実験には軸に少し緑色が残った鮮度のよいバナナを使い、冷蔵保存と常温保存で変化を比較。なお、冷蔵保存は野菜室、常温は室温が20~22度くらいの環境で保存しています。また、すべて同じ1つの房から切り離したものを使用しました。

常温と冷蔵の比較1日目と4日目

今回の比較実験で使用したのは4本。「A」と「B」の2本はそのまま「常温保存」。そして「C」と「D」は1本ずつラップで包んでから新聞紙で軽く包み、「冷蔵庫の野菜室」で保存します。

1日目はすべて軸が青々としています。4日目の常温A、Bは軸の緑色が消えて、少しシュガースポットが出てきました。冷蔵4日目のCとDは軸が緑色のままで、シュガースポットは出ていません

常温と冷蔵の比較7日目と11日目

1週間後の常温保存「A」「B」は、見た目がおつとめ品のようになっていますが、完熟状態なので食べるとおいしいはず。でもこのまま実験を継続します。冷蔵「C」「D」はまだシュガースポットが見られません。そして11日目になると、常温「A」「B」は黒い割合が増えたので終了としました。冷蔵「C」「D」はこの時点でもさほど変化はありません。

7日目の常温A、Bは皮がだいぶ黒くなってきました。一方、冷蔵のC、Dはあまり変化はなし。そして11日目になると常温A、Bは過熟状態になったのでここで終了。冷蔵C、Dはさらに実験を続けます

常温保存11日目のAの皮をむいてみました。果肉はだいぶやわらかくなっていましたが、なんとかおいしく味わえました。でももう少し早めに食べたほうが安心です

冷蔵保存13日目と28日目を食べてみる

もともと鮮度がよかったからか、約2週間経っても冷蔵「C」「D」に見た目の大きな変化はありません。ここで「C」の皮をむいて食べてみたところ、果肉はまだ少しかたさがあり、ほどよく甘味もあって美味でした。そして「D」の1本のみ28日保存に挑戦。皮をむくと果肉はきれいな状態をキープしていましたが、食感はねっとり度がやや高く、バナナの味はしますが何だか変な風味もして気分的にアウトでした……

13日目の冷蔵C、Dは見た目に大きな変化なし。この時点でCを食べてみたところ、普通においしく食べられました。そして28日目の冷蔵Dは、一見大丈夫そうでしたが味は微妙でした……

結論

今回の実験では、常温と冷蔵で明らかに差が出ました。20度くらいの室温だと、軸が緑色のものなら1週間くらい。冷蔵庫の野菜室で保存すれば2週間は日持ちするという結果に。

たくさん量がある場合は冷蔵(1本ずつラップ)することで熟すスピードを調整できるので、試してみてはいかがでしょうか。とくに気温の高い時期は冷蔵したほうが長持ちします。また、シュガースポットが出ているバナナでも冷蔵することで食べ頃の状態を少し先延ばしにすることができます。

ただし、全体が緑色の未熟なバナナを冷蔵すると追熟しないので、黄色くなってから冷蔵してください。また冷蔵していたバナナは常温でしばらく追熟させると、甘味とやわらかさが出てよりおいしく味わえます。

軸をラップで包むと黒ずみ防止に?(実験)

バナナの果皮の変色を抑える方法として、「軸の根元をラップで包む」というやり方があります。この方法でどのくらい効果があるかを実際に試してみました。使用したバナナはすべて同じ房のもので、室温20~22度くらいの環境で常温保存しています

軸ラップ常温保存1日目

この実験で使用したバナナは10本。「E」と「F」の2本は何もせずそのままの状態で常温保存。そして「G」と「H」は軸にラップをして常温保存。「I」「J」は全体にラップ、また「K」と「L」は軸にラップをしてからさらにラップで全体を巻いて常温保存をします。これと同様にもう1組軸ラップ+全体ラップの「M」と「N」を用意し、この2本は冷蔵庫の野菜室で保存してみました。

鮮度のよいバナナなので、1日目はすべて軸が緑色で皮もきれいです

軸ラップ常温保存4日目

4日後の状態です。常温保存すべてにシュガースポットが少し現れてきました。また、ラップをしていないEとFは軸が黒くなっています。一方、冷蔵保存の2本はこすれた部分が黒っぽくなっていますが、シュガースポットは出ていません。

4日目、常温保存の8本は皮にシュガースポットが少し出てきました。一方、冷蔵4日目の2本はシュガースポットは出ていません

軸ラップ常温保存7日目

1週間後。なんと予想に反して、軸ラップのバナナもラップなしと同じくらいシュガースポットが出ています。ラップ効果はあまりなかったようです……。やり方が悪かったのでしょうか……。でもラップなしのEとFは軸が黒く細くなっているので、軸を守るのにはよいかもしれません。また、冷蔵保存の2本はまだ大きな変化は見られません。

軸ラップの有無に関わらず、常温保存7日目のすべてに同じくらい多くのシュガースポットが出て食べ頃になってしまいました。なお、冷蔵7日目は少し色がくすんでいる程度

常温7日目を食べてみる

すっかり食べ頃なので、1本ずつ味見をしてみることに。どれも完熟で適度なやわらかさがあり、甘みと香りも感じられて美味でした。あえていうなら「K」の軸ラップ+全体ラップが、ほんのわずかにかたさがあったような気がするようなしないようなといった感じです。

常温7日保存のE、G、I、Kの4本を食べ比べてみたところ、どれも果肉はきれいなクリーム色でよく熟していて、口当たりもよく、同じくらいおいしかったです

冷蔵7日後に常温で6日保存したバナナを食べてみる

「M」と「N」の冷蔵バナナ(軸ラップ+全体ラップ)は、7日後でも果皮が黄色いままだったので、その時点で冷蔵庫から出して常温保存に変更。さらに6日経ってから食べてみることにしました。

7日間冷蔵したあと、さらに常温に戻して6日経過したものがこちら。シュガースポットが出てきてほどよく熟していて、皮をむくと果肉もまったく問題なし。Mを食べてみると、ほどよいやわらかさで、味わいも良好でした

常温7日後に冷蔵で4日保存したバナナを食べてみる

おまけとして、常温保存後に冷蔵保存という実験もしてみました。これは、常温保存7日目(軸ラップ+全体ラップ)の「L」を、食べ頃の状態で冷蔵庫の野菜室に4日間入れたものです。シュガースポットが出ているバナナを冷蔵すると、4日でこんなに皮が真っ黒になってしまいました。

完熟バナナを冷蔵すると4日間で真っ黒に。でも皮をむくと果肉に変色や傷みは見られず、食べると普通に甘くておいしかったです

結論

今回の実験では、軸にラップを巻いても皮の変色を抑える効果はあまり見られませんでした。ただ、ラップを巻くことで軸部分の変色はある程度抑えられたので、その点では有効だと思われます。

とにかく長持ちさせたい、というなら鮮度のよいうちに1本ずつラップを巻いて冷蔵庫の野菜室で保存するのがベストだと思います。冷蔵保存後に常温に戻すと再度追熟が進んで甘味とやわらかさが出るので、熟す時間を調整したい場合にも有効です。

バナナハンガーに吊して保存

完熟バナナは皮の接地部分から傷みやすくなります。そのため少しでも接地面を少なくするために「バナナハンガー(バナナスタンド)」に掛けておくという方法もあります。

ただしスタンドを使うと接地面への負担は軽減されますが、熟してくると次第に軸の根元部分がバナナの重さに耐えられなくなり、そこからちぎれてしまうことがあるので注意してください。

このようなバナナスタンドにつるしておくと、皮の黒ずみを抑えることができます

皮をむいて冷凍してスムージーなどに

量が多くて食べ切れないときは冷凍保存するとよいでしょう。皮をむいてラップで包んで保存用袋に入れておけば1か月くらいは保存可能です。

冷凍したバナナは半解凍の状態で食べたり、牛乳と一緒にミキサーにかけると手軽にバナナジュースが作れます。また、いちごやりんご、みかんなどいろいろな果物とミックスしてスムージーにしても美味です。

果肉だけをラップで包んで冷凍しておくと、スムージーなどに利用できて便利

●このページでは実際に試した経験も踏まえて、一般的な果物の保存方法をまとめています。しかし鮮度保持やおいしさを保証するものではありません。記事を参考にしたのに日持ちしなかった場合はどうぞご容赦ください。また矛盾はしますが、果物は新鮮なうちになるべく早く食べ切ることをおすすめします。