西洋梨の保存方法
西洋梨は収穫後に追熟が必要な果物です。完熟しているものと、かたくて未熟なものとでは保存方法が違ってきます。状況に応じた適切な保存方法を見ていきましょう。
かたい未熟果は常温で追熟
果実がかたくてまだ熟していない西洋梨は、常温で追熟させます。できれば20度前後の場所に置いておくのが理想。新聞紙などで包みポリ袋に入れ、乾燥しないようにしておきます。未熟なものを冷蔵庫で冷やすと追熟が止まってしまうため、少し熟すまで冷蔵保存はしないようにしましょう。
一般的に西洋梨は、果皮が黄緑色から黄色に変わったら食べ頃です。ただし「ラ・フランス」は、熟しても果皮の色が黄緑色のまま変わりません。少し分かりづらいですが、肩の部分に少しやわらかさを感じたり、軸がしおれたようになっていれば食べ頃といえます。
ほかにもやわらかさや香り、軸のしおれ具合などが熟度の目安になります。品種によって着目点が異なることがあるので、詳しくは「品種紹介のページ」でそれぞれ確認してください。

西洋ナシは基本的に、果皮が緑色から黄色になったら熟した合図です。ただし、品種によっては茶色や黄緑色、赤色で完熟状態のものもあります

果実がかたい西洋梨は新聞紙で包んでポリ袋に入れるなどして冷暗所で追熟させます

「ラフランス」は熟しても果皮が緑色のままです。また茶色っぽくなっているものもあります

「メープルレッド」という品種は果皮が赤色です
完熟した西洋梨は冷蔵庫の野菜室へ
追熟で食べ頃になった西洋梨は、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。乾燥防止のためにポリ袋に入れておきますが、新聞紙などで包んでからポリ袋に入れるておくと、より水分の蒸発を防げます。
なお完熟した西洋梨はあまり日持しません。常温で置いておくとどんどんやわらかくなっていくので、長めに日持ちさせたい場合は、完熟する少し前くらいのタイミングで冷蔵保存に切り替えてもよいでしょう。

芳香ややわらかさを感じるもの、黄色くなったものは食べ頃なので冷蔵保存して早めに消費します

この「コ三ス」は購入時、まだ果皮が黄緑色でかたさが残っていました

4日経つと完熟状態に。全体が黄色っぽくなり、やわらかさが出ました
早く追熟させたいならりんごと一緒に
西洋梨を早く食べたいのになかなか追熟が進まない、ということもあります。そんなときはりんごやバナナと一緒にポリ袋の中に入れておくと効果的です。果物の追熟は「エチレン」というガスによって促進されますが、りんごやバナナはそのエチレンガスを発生させます。そのため一緒に置いておくことで西洋梨の成熟が促されるというわけです。

かたい西洋梨を早く食べたい場合は、りんごと一緒にポリ袋に入れておきましょう
高温多湿は避ける
西洋梨を追熟させる際は、気温だけでなく湿度にも注意が必要です。西洋梨は早ければ9月上旬から売られていますが、その頃はまだ残暑が厳しく湿度が高いことがあります。30度近い高温多湿の場所では果実が傷んだり追熟障害を起こすことがあるので、暑い時期に西洋梨を追熟させる場合は、冷房が効いた部屋に置いておくなどしましょう。
カットして冷凍すれば長期保存も
熟した西洋梨がたくさんあって食べ切れない。そんなときは、果肉を冷凍しておくのがおすすめです。りんごのように皮をむいてカットしてから冷凍庫へ。半解凍の状態で食べてもおいしく、スムージーに使っても西洋梨特有の風味を味わえます。

果肉をりんごのようにくし形にカットして冷凍しておけば、シャーベットやスムージーとして味わえます
追熟に失敗したらジャムやコンポートに
かたい西洋梨がいつまで経っても追熟せずかたいままだったり、カットしてみたらまだ少し早かったということもあります。
そんなときは生食するのをあきらめて、ジャムやコンポートにするとよいでしょう。ジャムは砂糖を加えて煮るだけで出来上がりますが、水分が足りないようなら水を足してもOK。コンポートは砂糖水で煮て、果肉がやわらかくなったら完成です。レモン汁を加えると味が締まります。

かたくてジューシーさも感じられない西洋梨は、水と砂糖を入れて煮込めばジャムになります。量が少なければ電子レンジで加熱してもよいでしょう