おいしいいちごの選び方
完熟したおいしいいちごを見分けるには、色づきだけでなく、へたの状態や香り、形なども確認しておきましょう。また、最近増えてきた白いちごやピンクいちごは熟度がわかりにくいですが、これらも着目するポイントは同じです。
果実全体が赤く染まっている
いちごは熟すと全体が赤く着色します。果皮の色づきが悪いものは糖度が低かったり、酸味が強かったりするので、なるべく鮮やかな赤色のものを選びましょう。
なお、完熟したいちごは傷みやすいため、一般的には完熟直前に収穫して出荷されます。いちごは収穫後も着色が進む性質を持っているので、収穫時に白い部分が少し残っていても、売り場に並ぶ頃に真っ赤になるということもあります。
もちろん完熟で収穫したほうがおいしいのですが、最近の品種は質がよく完熟直前に収穫したものでも甘味は十分あります。しかし果皮に白色が目立つものは早採りし過ぎの可能性があるので、避けたほうが無難でしょう。
これは果実全体が赤く染まっている「さちのか」です。糖度は先端が16度以上と高く、へたの下部分も11度ありました。甘酸適和でとてもおいしかったです
これは上部に少し白さが残っています。先端の糖度は13.3度で、へた付近は8度。赤い部分は甘味が強くて美味でしたが、白い部分はさすがに甘さ控えめでした
品種によっては色が薄めでも完熟状態
「やよいひめ」や「かおり野」のように、熟してもあまり色が濃くならない品種もあります。ほかの濃紅色のいちごと一緒に並んでいると着色が薄く感じることがありますが、へたの下まで色づいていればOKです。
この「やよいひめ」は明るい朱色ですが、まろやかな甘酸っぱさで果肉もほどよいかたさ。先端部分の糖度は15度と高かったです
白いちごやピンクいちごは時期で色が変わる
白いちごは果皮が白いので熟度の判断が難しいですが、熟すとツブツブが赤くなるものが多いようです(「真珠姫」はツブツブが白色)。また、シーズン初期は果皮が白く、春になるとピンク色に染まる傾向にあります。
「桃薫(とうくん)」や「淡雪」などのピンク色の品種は赤いちごと同様、へた付近まで色づいているものを選びましょう。こちらも春頃になるとピンクが濃くなり、全体的にオレンジ色っぽくなることもあります。
また「真紅の美鈴」という黒いちごは、果皮が黒っぽい赤になるのが特徴。時期によっては黒みがあまり出ないこともありますが、着色のよい品種なのでなるべく全体が濃い紅色がおすすめです。ただし、あまりに黒すぎるものは過熟なことがあります。
ツブツブが赤みを帯びた白いちごの「初恋の香り」。糖度は果実の先端が12.9度で、へた付近は8.7度。甘味があって酸味がやさしく風味のよいいちごでした
「桃薫」は基本的に淡いピンク色ですが、これは4月上旬に購入したのでオレンジ色がかった濃い桃色をしています。糖度は高いところで12.9度ほどあり、香りがとてもよくておいしかったです
この「真紅の美鈴」は黒いちごといわれるだけあり、全体が黒っぽい濃紅色。糖度は先端が15.1度で、へた付近が9.8度。しっかり熟していて甘味が強く、濃厚な味わいでした
果皮に張りとツヤがある
鮮度のよいものは果皮に張りとツヤがあるので、この点も確認しましょう。赤く染まっていても、果皮に張りがないものは要注意。しんなりとしていたり変色のあるものは、鮮度が低下して食味が落ちています。白いちごやピンクいちご、黒いちごも同様です。
果皮に張りとツヤがあるものは新鮮です。この「ひのしずく」は果汁が豊富でさわやかな甘酸っぱさがジュワッと広がりました。ちなみに糖度は先端が12.8度、へた周辺は9.6度でした
果実の先端に白色や緑色が残っていない
果実の先端に緑色が残った「先青果」や、先端が白っぽい「先白果」は生理障害で起きたもの。本来、イチゴの先端は一番おいしい部分ですが、これらを発症した果実は、その部分の食味が著しく落ちています。
へたがピンとしてツブツブがくっきり
へたがきれいな緑色でピンとしているか、果皮のツブツブがくっきりしているかも要チェック。透明パックの場合、底に傷んだものがないか、色づきの悪いものがないかも見ておきましょう。
へたが元気でツブツブもはっきりしている「ゆめのか」。ほどよいかたさで果汁を豊富に含んでいて、糖度は高いところで13.7度あり、甘酸適和でとてもおいしかったです
これは「ふさの香」。果実には適度にかたさがあり、ジューシーで甘味も十分。糖度は先端部分が12.1度でした
この「スカイベリー」も葉が青々としています。果肉がしっかりしていて、先端の糖度は17.5度と高く、ほどよい酸味もありました
「かおりん」という埼玉県の品種。香りがとてもよく、先端の糖度が15.9度と甘味も強く濃厚な味わいでした
いちご特有の甘い香りがする
熟したいちごは特有の甘い芳香があります。香りの少ない品種もありますが、なるべくしっかりと香りを感じるものがよいでしょう。
この「あまおう」は果実がふっくらとしていて、香りがとてもよかったです。甘みと酸味のバランスもよく豊かな味わいを堪能できました
家庭用ならサイズや形は気にしなくてOK
最近は大粒のいちごが増えていますが、小さめでもおいしいいちごはたくさんあります。家庭で食べるなら、ほどよいサイズでもOK。大粒でもへた付近があまり甘くなかったり、逆に小粒でも甘味がギュッと詰まったものも売られています。
また、大粒のものでも自分で食べるならきれいな形にこだわる必要はありません。先端が少しぐらい広がっていても問題ないでしょう。へたの下の部分が少しくびれたような形になったものは、しっかり熟していて甘味が強いといわれます。
丸っこい三角でかわいい形をした「恋みのり」。やや小粒でしたが、先端の糖度は14.5度と高くて食味良好でした
この「スカイベリー」は大粒で、先端がとがっておらず形があまりよくありません。でも果実の先端は糖度が14.7度もあり、甘味がとても強くて果汁も豊富でおいしかったです
いちご狩りの場合はへた周辺に注目
いちご狩りの場合は、全体が赤く色づいていて、へたが反り返っているものを選びましょう。いちごは完熟すると果実がふくらみ、へたが反り返ったり、へたの下にひび割れができることがあります。
また果実の形はきれいに整っていなくても大丈夫です。へたの下がくびれたものも甘味が強いといわれるので、この点も確認しながら選んでみてください。
左の果実のようにへたが反り返って、首の部分がくびれたいちごは完熟していて甘味が強いといわれます。いちご狩りのときにはこのような果実も試してみましょう
いちごの一番甘い部分はどこ?
当サイトがこれまでに計測したいちごの糖度データをもとに、果実のどの部分が甘味が強いのかをイラストで紹介しています。また平均糖度も計算しました。
いちごのへたに近い部分を「上」、中央付近を「中」、先端部を「下」とした場合、平均糖度は上が約9.1度で、中は約10.7度、下は約13度となりました。へたの部分と先端の部分では平均糖度が約4度も違います。
つまり、いちごの一番甘いところは先端です。そのためケーキやパフェなどでいちごをカットする場合、縦にカットすると甘味にばらつきがでません。
平均糖度 約11度
上の平均糖度 約9.1度
中の平均糖度 約10.7度
下の平均糖度 約13度
●このページでは実際に食べた経験も踏まえて、一般的な選び方をまとめています。しかし糖度やおいしさを保証するものではありません。記事を参考にしたのにおいしくなかった場合はどうぞご容赦ください。
●糖度の数値は当サイトが独自に計測したものです。「Brix値(ブリックス値)」は「%」で表されますが、ここではわかりやすく「度」で表示しています。また、使用している簡易糖度計では、糖分だけでなくクエン酸などの「酸」も計測されてしまうため、必ずしも糖分だけの結果とはなりません。それを踏まえたうえでご覧ください。
●糖度が高い=おいしい、ということではありません。しかし、平均値よりも糖度が高いものは実際においしく感じるものが多いです。
●糖度を測定した個数は約10~200個と果物によって異なります。品種の重複はありますが、例えばあんずは10品種(12個体)で、いちごは91品種(118個体)を計測しています。
●糖度分布があるイラストは、わかりやすくするため大げさな色分けにしています。