いちご 苺 Strawberry
基礎データ DATA
いちごの旬(出回り時期)
※これはいちごの出回り量の割合をグラフ化したものです。農林水産省統計 年間卸売総量(2015年)を参考にしています
いちごの概要


子供から大人まで人気のイチゴは、おいしいだけでなく、ビタミンCが豊富に含まれている果物(※)です。中ぐらいの大きさなら5~6粒も食べれば1日の所要量(100mg)を満たしてくれます。イチゴといえば、かつては「女峰」や「とよのか」が主力品種でしたが、今は「とちおとめ」や「あまおう」「紅ほっぺ」などが主流。イチゴは10~20年くらいで世代交代が行われるため、次々に新しい品種が誕生しています。
※農林水産省ではイチゴやメロン、スイカを「果物」ではなく、「果実的野菜」として分類していますが、ここでは果物として紹介します
いちごの歴史

野生のイチゴは石器時代からヨーロッパ、アジア一帯で食べられていましたが、現在のようなイチゴが栽培されはじめたのは200年ほど前のことです。南アメリカから持ち込まれた品種と、北アメリカから持ち込まれた品種が自然交雑したものといわれています。
日本には江戸時代の終わり頃に伝わりましたが、そのときには定着せず、その後明治32年頃にフランスの品種が導入されたことで本格的な栽培が始まりました。
いちごの見分け方(選び方)


果皮のツブツブ(※1)がクッキリしていて、へたが青くて元気なもの。また表面に傷がなく、ツヤのあるものを選びましょう。
果皮の色の濃淡は品種によって異なりますが、赤が均一で鮮やかなものがよいでしょう。ただし、イチゴは収穫後も赤くなる性質があります。果皮が赤くても、へたに鮮度がなくて、香りを感じないものは要注意です。熟す前に摘まれて、時間の経過で着色した可能性があります。
パックで販売されている場合は、底に傷んだものや色の薄いものがないかもチェックしましょう。
イチゴ狩りの場合は、全体が赤く染まってへたが反り返り、へたの下の部分に小さな裂け目ができているものがおすすめです。イチゴは完熟すると、果実がふくらんでへたの下にひび割れができます。
※1:ツブツブは「種」といわれますが、厳密にはこのツブが「果実」で、この1つひとつの中に種が入っています。赤い実の部分はめしべの土台となる「花床(かしょう):花托(かたく)」が発達したものです。
いちごの保存方法

乾燥を防ぐためラップに包むかポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ。水洗いをすると果皮が弱るので、食べる直前に洗いましょう。なお、へたを取ってから水洗いすると水っぽくなるうえ、ビタミンCが流れてしまうので、洗うときはへたつきのまま洗います。
イチゴは日持ちしないので、なるべく購入した当日に食べることをおすすめします。収穫日や品種にもよりますが、遅くとも2~3日中に食べきりましょう。
イラストはイチゴの糖度分布です。イチゴはへたとは反対側の先端(果頂部)のほうが糖度が高いので、大きいイチゴはへたを持って食べるよりも、先にへたを取って、へた側から食べると最後まで甘味を感じられます。
食べきれない場合は、冷凍しておくとよいでしょう。水洗い後、水気をしっかりと取り、へたを取ってから冷凍庫へ。半解凍にしてイチゴミルクにしたり、スムージーやソースなどにするとおいしく食べられます。
いちごの栄養と効能
おもな栄養成分(可食部100g中)
ビタミンC(62mg)、 葉酸(90mcg)、食物繊維(1.4g)
注目成分
アントシアン
期待される効能
風邪予防、美肌効果、貧血予防、高血圧予防、動脈硬化予防、脳梗塞予防、心筋梗塞予防、がん予防
イチゴはビタミンCが豊富で風邪予防や美肌効果に期待できます。また、血を作るビタミンといわれている「葉酸」も豊富に含まれているので、貧血予防にも効果的。また、イチゴには血糖値の上昇やコレステロールの吸収を抑制する食物繊維のペクチンも含まれています。
ブドウほどではありませんがイチゴにもポリフェノールの一種「アントシアン」という色素成分が入っていて、発がん抑制作用にも期待できます。
より詳細な栄養成分については、「栄養成分(グラフ)」もしくは「栄養成分(一覧表)」に掲載しています。
栄養成分表を見る
いちごの種類
とちおとめ

1996年(平成8年)に品種登録された栃木県生まれのイチゴで、「久留米49号(とよのか×女峰)」と「栃の峰」の交配種です。平均15g前後と女峰よりも大きくて日持ちもよく、また酸味が少なく甘味が強いのが特徴。現在、東日本のシェアNo.1の品種です。
あまおう

「赤い、丸い、大きい、うまい」の頭文字から名付けられたあまおうは、「とよのか」の後継種として福岡県で育成されました。親は「久留米53号(とよのか×てるのか)」×「92-46(久留米49号×さちのか)」で、2005年(平成17年)に「福岡S6号」という名前で品種登録されました。糖度が高く適度な酸味とのバランスにも優れ、大きいものだと1粒40gにもなります。
ひのしずく

熊本県の特産で正式な品種名は「熊研い548」といいます。親は「さちのか×栃の峰」×「久留米54号×栃の峰」で、2006年(平成18年)に品種登録されました。平均果重は18g以上と大きめで、紅色の果皮はツヤがあり美しい外観をしています。果皮はやややわらかく、みずみずしくて甘味があり酸味は控えめです。
紅ほっぺ

粒が大きく鮮やかな紅色をしていて、果肉も赤くなるのが特徴。「章姫」×「さちのか」の交配種として静岡で誕生し2002年(平成14年)に登録された品種です。糖度が平均12~13度と高く、たっぷりの甘味の中に適度な酸味が調和しています。
さちのか

「とよのか」と「アイベリー」を掛け合わせた品種で、2000年(平成12年)に品種登録されました。サイズは10~20gほどで、果皮は濃い赤に染まり、糖度が高くて香りのよいイチゴです。果肉がしっかりしていて日持ちがよく、全国の作付け面積もトップクラスの人気種です。
さがほのか

酸味が少なく甘味の強いイチゴで、「大錦」×「とよのか」の交配種として佐賀県で育成され2001年(平成13年)に品種登録されました。果実は比較的大きめで香りがよく、中の果肉が白いのが特徴です。果肉がしっかりしているので日持ちがよく、主流品種の1つとなっています。
やよいひめ

平均果重が20gと大粒で、2005年(平成17年)に登録された品種です。親は「とねほっぺ×とちおとめ」×「とねほっぺ」で群馬県で育成されました。果皮は明るい赤色で、果肉がかためで日持ちがよく、強い甘味の中に適度な酸味があります。
あすかルビー

奈良県生まれの「あすかルビー」は、2000年(平成12年)に登録された品種です。甘味と酸味のバランスがよく、果皮はルビーのような光沢のある赤色をしています。サイズは大きめで果肉はややかたく、比較的日持ちするのが特徴。親は「アスカウェイヴ」×「女峰」です。
ゆめのか

2007年(平成19年)に品種登録された愛知県生まれのイチゴです。果皮は鮮やかな赤で果実はややかため、サイズは20g前後で円錐形をしています。親は「久留米55号」×「出願者所有の育成系統」で、甘酸のバランスがよく果汁も豊富です。
越後姫

「ベルルージュ×女峰」と「とよのか」の掛け合わせから誕生し、その名の通り新潟県で育成されて1996年(平成8年)に品種登録されました。果皮はやわらかめで香りがよく、甘味は強めで酸味はおだやか。6月頃まで味わえるのも魅力です。
さぬき姫

「さちのか×とちおとめ」と「さがほのか」を交配して香川県で育成され、2009年(平成21年)に品種登録されました。サイズは18g前後で果汁が多く、甘味と適度な酸味が調和した味わい豊かなイチゴです。
ももいちご(あかねっ娘)

徳島県が商標登録しているブランドいちごで、桃のように丸くて果汁豊富なことからこの名前が付けられました。正式な品種名は「あかねっ娘」といいます。「(アイベリー×宝交早生)×とよのか」×「アイベリー×宝交早生」の掛け合わせで誕生し、1994年(平成6年)に品種登録されました。酸味は少なく、糖度は平均12度と甘味たっぷり。なお、徳島県以外で生産されたものは、品種名のあかねっ娘で流通しています。
とよのか

おもに九州や西日本で栽培されているイチゴで、親は「ひみこ」×「はるのか」。1984年(昭和59年)に品種登録されました。丸みのある円錐形の果実は光沢があり、鮮やかな赤色をしています。甘味と酸味がほどよく調和していて、香りがよく味わいも豊か。かつては西日本を代表する品種でしたが、最近は「あまおう」などの品種の登場により生産量は減少しています。
女峰(にょほう)

「はるのか×ダナー」と「麗紅」を交配した品種で1985年(昭和60年)に登録されました。栃木県を中心に東日本で栽培されていて、以前は「とよのか」と人気を二分していましたが、今では「とちおとめ」にその座を奪われました。光沢のある淡赤色の果実はやや小ぶりながら、甘酸っぱくてジューシーです。
章姫(あきひめ)

「久能早生」と「女峰」交配した品種で1992年(平成4年)に登録され、静岡県をはじめおもに東日本で栽培されています。サイズは女峰の約1.5倍あり、口当たりがやわらかく甘味も十分。形はやや長めの円錐形で、果皮はきれいな紅色をしています。
アイベリー

1983年(昭和58年)に愛知県にある種苗会社で誕生。親の来歴は不明です。果皮は濃い赤色で甘酸のバランスがよく、粒が大きいのが特徴。大きいものは50g以上になり、見た目も味もよいイチゴです。
もういっこ

宮城県で誕生したイチゴです。親は「出願者所有の育成系統」×「さちのか」で、2008年(平成20年)に品種登録されました。果皮はきれいな赤色をしていて、果肉はややかため。サイズは比較的大きく、1粒30g以上のものも多いようです。甘味と酸味のバランスがよく、1つ食べるともう1つ食べたくなることからこの名前が付けられました。
初恋の香り

山梨県の種苗会社と福島県内の育種者が開発し、2009年(平成21年)に登録されたイチゴです。このイチゴは熟しても赤くならず全体が白いのが大きな特徴で、ほのかにピンク色になることもあります。見た目は未熟のようですが、味は甘酸のバランスがよく、普通のイチゴと変わりません。香りもよく贈答用としても人気です。
スカイベリー

栃木県農業試験場が「とちおとめ」の後継として開発したイチゴ。正式な品種名は「栃木i27号」で、「スカイベリー」は公募によって付けられたブランド名(商標登録)です。親は「00-24-1」×「栃木20号」で、円錐形の果実は甘酸のバランスがよく食味に優れ、サイズが大きいのが特徴。収量の約2/3が3Lサイズになるそうです。2012年12月から出荷されています。
古都華(ことか)

奈良県農業総合センターが育成したイチゴで、2011年(平成23年)に品種登録されました。交配品種は「7-3-1」と「紅ほっぺ」です。香りが豊かで甘味と酸味も強く濃厚な味わい。ツヤのある濃い紅色の果肉はしっかりしていて歯ごたえがあり、日持ちにも優れています。ちなみに古都華という名前は公募によって決まりました。
いばらキッス

2012年に登録された茨城県のオリジナル品種です。親の組み合わせは「とちおとめ」×「レッドパール×章姫」。果実はややかためで、果皮は光沢のある濃い赤色をしています。サイズは大きめで縦長の円錐形。糖度が高くてほどよい酸味を含み、果汁も豊富で食味のよいいちごです。ちなみに「いばらキッス」という名前は公募により選ばれました。
きらぴ香

2017年に品種登録されたいちごです。静岡県農林技術研究所が所有する育成系統どうしを交配して選抜し育成しました。形は大粒で縦長の円錐形で、赤く染まった果皮はツヤがあり果実はかため。同じ静岡県で誕生したいちご「紅ほっぺ」と比べると、糖度は同等程度で酸味は少なめとなっています。上品な香りを持ちなめらかな口当たりが楽しめます。
各地の年間収穫量 イチゴ
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
また、ページ上部の「基礎データ」にある「おもな産地」の数値は、下表の割合(シェア)を四捨五入したものです。
出典:農林水産省統計
2015年のイチゴの収穫量のうち最も多いのは栃木県で、約2万4,800トンの収穫量があります。2位は約1万6,000トンの収穫量がある福岡県、3位は約1万900トンの収穫量がある熊本県です。
栽培面積・収穫高の推移
出典:農林水産省統計
2015年のイチゴの栽培面積は約5,450ヘクタール。収穫量は約15万8,700トンで、出荷量は約14万5,200トンです。
いちごの輸入先と輸入量
出典:財務省統計
イチゴは5か国から輸入されています。輸入先トップはアメリカで輸入量は約2,873トン、イチゴ輸入量のほとんどを占めています。2位はオランダの約104トンで全体の約3%程度です。3位は韓国の約13.5トン。4位は約1.3トンのニュージーランドと続きます。
いちごの輸出先と輸出量
出典:財務省統計
2016年には10か国に輸出され、トップは約441トンの香港です。2位は約50.9トンの台湾、3位は約17.5トンのシンガポールと続きます。
年別輸出入量
出典:財務省統計
イチゴは輸入と輸出が行われています。2016年の輸入量は約2,992トンで輸入額は約29億2,912万円。輸入量は前年と比べると81トン(約3%)減少しています。また、輸出量は約526トンで輸出額は約11億4,859万円。輸出量は前年と比べると118トン(約29%)増加しています。
主要生産国(上位5か国)
出典:FAOSTAT(2014年)
イチゴ生産の上位5か国は、中国、アメリカ、メキシコ、トルコ、スペインです。1位の中国の生産量は年間約311万3,000トンで全体の約38%を占めています。2位のアメリカは年間約137万1,573トンで全体の約17%、3位のメキシコは年間約45万8,972トンで全体の約6%です。
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