おいしいいちじくの選び方

スーパーに並んでいるいちじくは「桝井ドーフィン」という品種が多いですが、「とよみつひめ」や「蓬莱柿(ほうらいし)」なども人気のある品種です。完熟したいちじくは甘味が強く、なめらかな舌触りとプチプチとした食感が楽しめます。

お尻の部分が割れかけのもの

いちじくは完熟するとお尻の部分(果頂部)が割れるのが特徴です。したがって、お尻が少し割れていたり、割れかけているものは食べ頃。ただし、割れすぎているものは過熟で傷んでいることもあるので注意してください。

なお、いちじくは果皮が薄くて日持ちしないため、完熟の一歩手前で収穫されることが多いです。そのため、お尻が割れていない桝井ドーフィンもよく売られています。

また、とよみつひめは裂果しにくい品種なので、とよみつひめにおいては割れているかどうかはあまり重視しなくてよいでしょう。

桝井ドーフィン

しっかりと熟してお尻が割れかけの「桝井ドーフィン」。このくらいの状態で収穫されることも多いです

とよみつひめ

「とよみつひめ」はお尻が割れにくいのが特徴。これはまったく割れていませんが、甘味が強くてとろけるような食感でした

蓬莱柿はお尻が割れやすい

西日本で多く作られている蓬莱柿(ほうらいし)は、お尻が割れやすい品種です。こちらは3~4cmほど裂けているものもよく見られますが、すぐに食べるなら問題ありません。完熟した蓬莱柿はとろりとした舌触りで甘味もしっかり感じられます。

逆にまったく割れていなくてかたいものは、未熟傾向なので避けたほうがよいでしょう。

蓬莱柿

「蓬莱柿(ほうらいし)」はこのように大きく割れたものもよく売られています。この蓬莱柿は甘味の中にほどよい酸味があり、風味豊かで美味でした

果皮が赤褐色に染まっている

いちじくは熟すと果皮が赤褐色になるので、なるべく全体が色づいているものを選ぶようにしてください。緑色が目立つものは、果肉がかたかったり、甘味が薄いことがあります。色の薄いものと濃いものがあれば、濃いほうを選ぶようにしましょう。

一方、蓬莱柿(ほうらいし)は、熟しても果皮の色があまり濃くなりません。少し黄緑色がかったものも売られていますが、果実が少し裂けていれば熟しています。

黒っぽくなっていたり、果皮がしなびていたり傷が目立つものは、鮮度が低下していたり、味が落ちていることあるので避けましょう。

桝井ドーフィン

この「桝井ドーフィン」は色濃く染まっていてきれいな外観です。なめらかな口当たりで甘味もしっかり感じられました

蓬莱柿

「蓬莱柿」はこのくらいの色づきのものも多いです。これはお尻が割れかけていてほぼ完熟状態。甘酸っぱくておいしかったです

果皮に張りがあり弾力を感じる

果実の形はふっくらとしていて、少し弾力を感じるものがおすすめです。未熟な果実はかたくて、酸味が強かったり甘味が少なかったりします。鮮度のよいものは果皮に張りがあるので、この点も確認しましょう。

桝井ドーフィン

ふっくらとして果皮に張りがあり、やわらかさのある「桝井ドーフィン」。しっかりと完熟していて鮮度も良好です

特有の甘い香りが漂っている

いちじくは熟すと特有の香りが漂うので、なるべく香りのよいものを選びましょう。ただし香りが強くても果肉がやわらかすぎるものは、熟し過ぎかもしれないので注意が必要です。

とよみつひめ

この「とよみつひめ」は香りがよく、とろけるような口当たり。甘味も強くて中央部のプチプチ食感も心地よかったです

白いちじくと黒いちじくは香りと弾力を確認

「バナーネ」や「ホワイトゼノア」などの白いちじくは、熟しても果皮が黄色~黄緑色をしています。

また「ビオレソリエス」や「サルタン」「ヌアールドカロン」「カリフォルニアブラック」といった黒っぽくなる黒いちじくもあります。これらは甘い香りがしていたり、見た目に弾力を感じれば熟しています。

なお、いちじくはとてもデリケートで、ちょっとしたことで果皮が破れたり傷ついてしまうのでやさしく扱いましょう。

バナーネ

「バナーネ」は果皮がこのような黄緑色の状態でも完熟しています。このバナーネは甘くて酸味が少なく、ねっとりとした食感が楽しめました

ビオレ・ソリエス

「ビオレ・ソリエス」は黒っぽい紫色に染まるので、なるべく濃い色のものを選びましょう。このビオレ・ソリエスは甘味と酸味が調和して濃厚な味わいでした

いちじくの一番甘い部分はどこ?

当サイトがこれまでに計測したいちじくの糖度データです。

今回糖度を計測したいちじくにはマイナーな品種が多く含まれていたので、平均値は計算しませんでした。計測した値で低かったものは約11.5度で、高かったものは約26.3度となっています。

いちじくの糖度分布

糖度(参考値) 11.5~26.3度

●このページでは実際に食べた経験も踏まえて、一般的な選び方をまとめています。しかし糖度やおいしさを保証するものではありません。記事を参考にしたのにおいしくなかった場合はどうぞご容赦ください。
●糖度の数値は当サイトが独自に計測したものです。「Brix値(ブリックス値)」は「%」で表されますが、ここではわかりやすく「度」で表示しています。また、使用している簡易糖度計では、糖分だけでなくクエン酸などの「酸」も計測されてしまうため、必ずしも糖分だけの結果とはなりません。それを踏まえたうえでご覧ください。
●糖度が高い=おいしい、ということではありません。しかし、平均値よりも糖度が高いものは実際においしく感じるものが多いです。
●糖度を測定した個数は約10~200個と果物によって異なります。品種の重複はありますが、例えばあんずは10品種(12個体)で、いちごは91品種(118個体)を計測しています。
●糖度分布があるイラストは、わかりやすくするため大げさな色分けにしています。