おいしい温州みかんの選び方

温州みかんの出回り時期は9月から3月頃です。9月から10月頃の緑色をした「極早生みかん」は酸味が強めで、10月頃から出回る「早生みかん」は甘酸適和。酸味が少なくて甘いみかんは11月下旬頃から増えます。

果実が扁平形で重量感がある

温州みかんは、高さのある形のものより、扁平で腰の低いほうが甘味があるといわれます。また果汁が多いみかんは重量感があるので、持ったときにしっかりと重みを感じるものを選びましょう。

温州みかん

このようにペタッとした扁平形のものがよいといわれます。この有田みかんは糖度が14度と甘味が強く、じょうのう膜(袋)も薄くて食味良好でした

日南1号

これは少し腰高です。腰高でもおいしいものもありますが、軽い果実は食味があまりよくないことも。このみかんは糖度が12度前後あり悪くなかったです

張りがあって果皮の色づきがよい

皮の張りと色の濃さも確認してください。鮮度がよい温州みかんは果皮に張りがあり、しっかりと熟したものは全体が濃く色づいています。

なおシーズン前半の10月頃までは、果皮が緑~黄緑色のものや、黄色いみかんも多く出回ります。これらは酸味が少し強めですがさわやかな風味が楽しめます。酸味が苦手な人は、10月下旬頃からのオレンジ色のみかんが出るまで待ちましょう。

ニュー日南

これは9下旬に購入した「ニュー日南」という極早生みかんです。さわやかな甘酸っぱさが味わえました

かごしま早生

これは10月中旬に入手した果皮が黄色い「かごしま早生」。糖度が12~15度とばらつきがありましたが、酸味がほどよく抜けていてしっかりと甘味を感じられました

菊間中生

1月下旬に購入した「菊間中生」というみかん。果皮が濃いオレンジ色をしています。酸味が少なく糖度は高いところで12.7度ほどあって濃厚な味わいでした

皮が薄くツブツブが小さくきめ細かい

皮の厚さはなるべく薄く、きめ細かいものがおすすめ。ツブツブが小さくてはっきりしているものがよいでしょう。

みかんは成長するときに、水分が少ないほうが甘くなります。しかし長雨などで水分をたくさん吸収すると、果皮が厚めになったり、ツブツブが大きめになってしまうことがあるようです。

また、皮がふかふかとした「浮き皮」という状態のみかんもあります。少しくらいなら気にしなくてもよいですが、浮き皮が目立つものは、食味が落ちていることがあります。

宮川早生

これは「宮川早生」という品種。肌がなめらかでツブツブも小さく、皮が薄め。糖度は13.9度と甘味たっぷりでほどよい酸味があり、じょうのう膜(袋)も薄くておいしかったです

大津4号

これは少し浮き皮になっていた「大津4号」です。浮き皮は果実を触るとふかふかしているので意外とわかります

大津4号

中を見ると、果肉と皮の間に隙間ができていました。この程度なら問題ありませんが、ひどくなると味が落ちるので注意が必要です。ちなみにこの大津4号は糖度が13.8度あり果汁豊富で美味でした

へたの切り口が小さくて色が薄め

へたの切り口が小さいかどうかも注目ポイントの1つ。切り口が小さいみかんは、細い枝についていたもので成長が遅く、じっくりと時間をかけて成熟するため甘味が強いことが多いです。一方、切り口が大きいみかんは太い枝についていたもので、成長スピードが早くなります。

そのため同じ木から収穫した場合、切り口が小さいほうが、より甘味が強い傾向にあります。店頭ではさまざまな木から収穫したものが混ざっているので一概にはいえませんが、なるべく小さめのものを選ぶとよいでしょう。

また、へたの色も見てみましょう。これも同じ木になっているみかんの場合、へたが濃い緑色のものよりも薄い黄緑色のほうが熟度が高いといわれます。

温州みかん

この「真穴みかん」は切り口が小さいです。実際に食べてみると、糖度が14度以上と甘味が強くまろやかな甘酸っぱさでした

大津4号

こちらは切り口が大きめ。太い枝についていたものと思われます。ただ、切り口が大きくても甘いみかんもあります。これは普通においしかったです

肥のみらい

この「肥のみらい」はへたが黄緑色。しっかり熟していて糖度が14度以上あり濃厚な甘味でした

サイズが小さめのほうが甘味が強い傾向に

みかんはS、M、Lなどいろいろなサイズがありますが、大きなみかんより、小玉のほうが糖度が高いといわれます。とはいえ、大きくても甘くておいしいみかんはたくさんあるので、好みで選ぶとよいでしょう。

ちなみにSサイズは約80g、Mサイズが100~120gくらい、Lサイズは130~150gくらいとなっているようです。

興津早生

この「興津早生」は73gでSまたはSSサイズの小玉みかん。ジューシーで果肉がプリプリとしていて、糖度も14度前後と甘味が強くて後を引くおいしさでした

青島温州

こちらはMサイズの「青島温州」。糖度は11~14度程度とばらつきがありましたが、酸味が少なくてしっかりと甘味を感じました。果肉はやわらかく果汁も多かったです

お尻がでこぼこしたみかんは味が濃厚

たまにみかんのお尻側(果頂部)がでこぼことしたみかんがあります。これは水分の吸収が少ないときにできるものだそう。果実が締まっていて、菊のようになったみかんは皮がむきやすく、濃厚な味わいに仕上がっている可能性が高いです。

温州みかん

「菊みかん」の名前で売られていたものです。お尻部分がぼこっとしていて見た目はよくありませんが、甘みと酸味をぎゅっと凝縮した濃厚な味わいでした

岩崎早生

この「岩崎早生」も、お尻がでこぼことしていて外観はあまりよくありませんが、果頂部側の糖度が15度以上あり、深みのある味でかなりおいしかったです

日焼けしたものは避ける

皮にすり傷が少しあるくらいなら、あまり気にしなくてもかまいません。でも茶色く日焼けしたものは、水分が不足して味が落ちていることがあるので避けたほうがよいでしょう。

箱買いは底のほうもみかんもチェック

箱買いをする場合は、可能なら箱の下のほうのみかんも確認してから購入しましょう。傷んでいるものが入っていると、その周りの果実も影響を受けている可能性があります。もしも見つけたら取り替えてもらいましょう。

温州みかんの一番甘い部分はどこ?

当サイトがこれまでに計測した温州みかんの糖度データをもとに、果実のどの部分が甘味が強いのかをイラストで紹介しています。また平均糖度も計算しました。

温州みかんはへた側を「上」とし、お尻側を「下」とすると、上は約12.2度。中は約13.9度、下も約13.9度となりました。

温州みかんの一番甘い部位は真ん中からお尻部分にかけて。みかんは基本的に1房をひと口で食べるので気にしなくてかまいませんが、果実を上下半分にカットすると、下半分のほうが甘いということになります。

温州みかんの糖度分布

平均糖度 約13.3度

上の平均糖度 約12.2度

中の平均糖度 約13.9度

下の平均糖度 約13.9度

●このページでは実際に食べた経験も踏まえて、一般的な選び方をまとめています。しかし糖度やおいしさを保証するものではありません。記事を参考にしたのにおいしくなかった場合はどうぞご容赦ください。
●糖度の数値は当サイトが独自に計測したものです。「Brix値(ブリックス値)」は「%」で表されますが、ここではわかりやすく「度」で表示しています。また、使用している簡易糖度計では、糖分だけでなくクエン酸などの「酸」も計測されてしまうため、必ずしも糖分だけの結果とはなりません。それを踏まえたうえでご覧ください。
●糖度が高い=おいしい、ということではありません。しかし、平均値よりも糖度が高いものは実際においしく感じるものが多いです。
●糖度を測定した個数は約10~200個と果物によって異なります。品種の重複はありますが、例えばあんずは10品種(12個体)で、いちごは91品種(118個体)を計測しています。
●糖度分布があるイラストは、わかりやすくするため大げさな色分けにしています。