温州みかん 蜜柑 Mandarin
基礎データ DATA
ミカンの旬(出回り時期)
※これはミカンの出回り量の割合をグラフ化したものです。農林水産省統計 青果物卸売市場調査 品目別:主要卸売市場計(2023年)を参考にしています
ミカンの概要
みかんには「有田みかん」や「愛媛みかん」などいろいろありますが、これらはどれも「温州みかん」のことを指します。じつは、温州みかんには「宮川早生」や「南柑20号」などたくさんの品種があるのですが、店頭では品種名ではなく地域の名前をブランド名として販売することが多いのです。
ほかにも愛媛県の「味ピカ」や、長崎県の「味っ子」「出島の華」など、特に糖度の高いみかんにブランド名を付けて出荷しているものもあります。食べ比べて好みの味を見つけてください。
ミカンの歴史
温州みかんは日本生まれといわれている柑橘です。400年ほど前に中国から鹿児島県に伝わった柑橘の種から偶然発生したと考えられています。その説の裏付けとなったのが鹿児島県の長島にあった古木です。この古木は昭和11年に樹齢約300年と推定され、この古木と江戸時代の古文書などを照合して実地踏査をした結果、温州みかんは日本原産とされました。温州みかんの栽培が本格的に行われるようになったのは明治に入ってからです。
ちなみに、みかんには「紀州みかん(キシュウミカン)」というものがありますが、これは温州みかんとは別の種類です。紀州みかんは温州みかんよりも歴史が古く、別名「小みかん」といわれるほど小さいのが特徴。中国から熊本県に渡来した小みかんが和歌山県に伝わったとされ、そこで多く生産されるようになったことからこの名前になったようです。
紀州みかんといえば、江戸時代の豪商「紀伊国屋文左衛門」のエピソードが知られています。当時、みかんは江戸で高価ながらも人気の果物でした。しかし供給は安定しておらず、江戸で品薄だったときに紀州から大量に運んで売ったことで、大きな財を成したそうです。紀州みかん(小みかん)は、現在も鹿児島県や熊本県、和歌山県などで栽培されています。
ミカンの選び方(見分け方)
- 果実が扁平形で重量感がある
- 張りがあって果皮の色づきがよい
- 皮が薄くツブツブが小さくきめ細かい
- へたの切り口が小さくて色が薄め
- サイズが小さめのほうが甘味が強い傾向に
- お尻がでこぼこしたみかんは味が濃厚
- 日焼けしたものは避ける
- 箱買いは底のほうもみかんもチェック
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ミカンの栄養と効能
おもな栄養成分(可食部100g中)
ビタミンC(32mg)、βクリプトキサンチン(1900mcg)、食物繊維(1g)
注目成分
ヘスペリジン
期待される効能
美肌効果、風邪予防、便秘改善、高血圧予防、動脈硬化予防、脳梗塞予防、心筋梗塞予防、がん予防
温州みかんはビタミンCが豊富なので、肌荒れや風邪予防に効果的です。また果肉の袋(じょうのう膜)には便秘改善の作用があるペクチンも多く含まれています。さらに袋や白いスジには、フラボノイドの一種「ヘスペリジン」が含まれていて、高血圧や動脈硬化を予防する効果があるといわれます。
カロテノイドの一種である「βクリプトキサンチン」の含有量は果物の中でトップクラス。βクリプトキサンチンは体内でビタミンAとして働き、消化器官や視力を保持してくれます。また、βクリプトキサンチンは発がん抑制作用や老化抑制にも期待されています。
より詳細な栄養成分については、「栄養成分(グラフ)」もしくは「栄養成分(一覧表)」に掲載しています。
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ミカンの種類
極早生(ごくわせ)温州
9~10月頃に出荷されるみかんで、果皮に青みが残っています。果肉がジューシーで酸味がやや強めなのが特徴。甘酸っぱいのが好きな人におすすめです。また、じょうのう膜(袋)が比較的薄いので食べやすいのも魅力。おもな品種に「日南1号」、「上野早生」、「宮本早生」、「岩崎早生」、「豊福早生」、「崎久保早生」、「大浦早生」、「高林早生」、「山川早生」などがあります。
早生(わせ)温州
本格的なシーズン到来を感じさせてくれるみかんです。10月下旬~12月頃に出荷され、果皮はほぼオレンジ色に染まり、甘味とほどよい酸味が楽しめます。品種として有名なのが「宮川早生」で、糖度が高くて味わい深く風味に優れているのが特徴。ほかに「興津早生」も甘味が強くて美味です。どちらもじょうのう膜(袋)が薄くて食べやすいです。このほか、宮川早生の枝変わりで誕生した果皮が紅橙色の「山下紅早生」や「小原紅早生」なども人気。
中生(なかて)・普通温州
11月下旬~12月下旬頃に出回るみかんで、酸味が少なめで甘味が強いのが特徴です。代表的な品種に「南柑20号」があり、果皮は濃いオレンジ色で大きな扁球形をしています。じょうのう膜(袋)は早生種に比べると少し厚くなりますが、日持ちはよいです。ただ成長しすぎると果皮が果肉から浮きやすく、味が落ちてしまいます。ほかに「大津4号」、「向山温州」、「林温州」、「南柑4号」、「藤中温州」などがあります。
晩生(おくて)温州
12月下旬~3月頃に出荷されるシーズン最後のみかんです。品種としては「青島温州(あおしま)」がポピュラー。基本的に1か月ほど貯蔵して、甘味を強めてから出荷されます。青島温州は大きめの平球形で、じょうのう膜(袋)がやや厚めですがほどよい酸味とコクのある甘さが楽しめます。そのほかに「十万温州」や「寿太郎温州」などの品種があります。
ハウスみかん
温室栽培されるみかんの総称で、5~9月頃に市場に出回ります。栽培に手間がかかる分、価格は高くなりますが、甘味が強くて食べやすいのが特徴。サイズはやや小ぶりで、果皮はきれいなオレンジ色をしています。基本的に品種はうたっておらず、産地の名前をブランドにしています。
各地の年間収穫量 温州みかん
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
また、ページ上部の「基礎データ」にある「おもな産地」の数値は、下表の割合(シェア)を四捨五入したものです。
出典:農林水産省統計
2022年の温州みかんの収穫量のうち最も多いのは和歌山県で、約15万2,500トンの収穫量があります。2位は約10万9,300トンの収穫量がある愛媛県、3位は約10万3,000トンの収穫量がある静岡県です。
栽培面積・収穫高の推移
出典:農林水産省統計
2022年の温州みかんの栽培面積は約3万6,200ヘクタール。収穫量は約68万2,200トンで、出荷量は約61万3,000トンです。
品種ごとの作付面積
出典:農林水産省統計
2021年の温州みかんの作付面積は、1位は宮川早生で約6,244ヘクタール。全体の約22%を占めています。2位は青島温州で約3,581ヘクタール。3位は興津早生、4位は日南1号となっています。
ミカンの輸出先と輸出量
出典:財務省統計
2022年には15か国に輸出され、トップは約827トンの香港です。2位は約390トンの台湾、3位は約112トンのシンガポールと続きます。
年別輸出入量
出典:財務省統計
温州みかんは海外に輸出されています。2022年の輸出量は約1,489トンで輸出額は約9億4,019万円。輸出量は前年と比べると73.7トン(約5%)減少しています。
主要生産国(上位5か国)
出典:FAOSTAT(2021年)
ミカン類生産の上位5か国は、中国、トルコ、スペイン、モロッコ、ブラジルです。1位の中国の生産量は年間約2,700万トンで全体の約61%を占めています。2位のトルコは年間約186万5,000トンで全体の約4%、3位のスペインは年間約180万490トンで全体の約4%です。
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