おいしい桃の選び方
桃は傷みやすいとてもデリケートな果物です。お店では直接触らず、色や香り、形などで判断するようにしましょう。ここでは果皮の赤い桃、白い桃、黄色い桃と3タイプの桃について見ていきます。
左右対称でふっくらときれいな丸み
桃はなるべく左右対称できれいな丸みがあり、ふっくらとしたものがよいでしょう。ただし形がよくてもやわらかくなったものや、果皮が黒っぽくなったものは、過熟だったり果肉が傷んでいることがあるので避けます。
この「まどか」はふくよかできれいな形をしています。果肉はかためでカリッとした歯ごたえ。糖度は高いところで16度ありました
左右対称に近い形をした「西尾ゴールド」。果肉がなめらかでみずみずしく、甘味もしっかり感じられました。ちなみに一番甘い部分の糖度は14.1度でした
張りと重量感、縫合線の深さを確認
果皮がしっとりとしていて張りが感じられ、重量感のあるものがおすすめ。また、果実の割れ目(縫合線)の溝は、深いものより浅いほうがよいとされます。とはいえ、少し溝が深くても甘味が強いこともあるので参考程度にとどめておきましょう。
果実のサイズは小ぶりでもおいしいですが、ある程度大きめのほうが管理の手が行き届いていることが多く、食べ応えもあります。
縫合線の溝はこのように浅いものがよいとされます。この「愛川中島」は糖度が14~15程度で、甘くて濃厚な味わいでした
この「日川白鳳」は溝がやや深めですが、甘みと酸味のバランスが良好で香りもよくておいしかったです
鮮やかな赤色で甘い香りがする
一般的な赤い桃は、果皮が鮮やかな赤色に染まっていて、全体にしっかりとうぶ毛があるかもチェックします。また桃は熟してくると甘い香りがしてくるので、香りの有無も確認しましょう。
甘い香りが漂い、果皮が濃い赤色に着色している「まさひめ」という品種。糖度が15~17度と甘味が強く、やさしい酸味もありとても美味でした
そばかすのような白い斑点がある
果皮の色の濃い部分に、そばかすのような白い斑点(果点)が出ているものは、甘味が強めといわれます。必ずしも甘味が強いという保証はありませんが、果皮の色づきが同じくらいなら、斑点が多いほうを選んでみるとよいでしょう。
このそばかすが出ている「加納岩白桃」は糖度が約14度で甘く、香りがよくてジューシーでした
この「あまとう」はかなりそばかす(果点)が出ています。部分的にかなり甘いところがあり、果汁も豊富でした
こちらは白いそばかすがある「千種白鳳」。少しかたさがあったので追熟させてこの2日後に食べました。糖度が14度前後と甘味十分で、酸味はやさしく、みずみずしさも楽しめました
軸周辺の果皮が緑色のものは未熟
果皮に白い部分が少し残っていても、ある程度熟していれば甘味はあります。ただ、軸周辺の果皮が黄緑色のものは要注意。黄緑色が残ったものはまだ未熟な状態です。
なお桃は収穫後も追熟する果物で、一般的に完熟になる2~4日前くらいに収穫され、お店に並ぶ頃にほどよく熟した状態になることが多いです。ほんのり黄緑色が残ったものも見られますが、緑が目立つものは早採りした可能性があります。
果実がかたくてあまり色づいていない場合は、涼しい常温でしばらく置いておいて追熟させましょう。
この「大寿蜜桃」は軸周辺が黄緑色だったので、この5日後に食べました。果肉はコリコリとした食感で、部分的に糖度が約20度もあり予想外に甘かったです
白い桃はきれいなクリーム色のもの
「清水白桃」や「おかやま夢白桃」「白麗」など果皮の白い桃もあります。これらは袋がけをして栽培されたもので、岡山県産の桃に多く見られます。全体がクリーム色の状態でも甘味があり、口当たりもなめらか。上品な味わいが楽しめます。
赤い桃同様に、果皮に黄緑色が残っているとやや未熟なので、明るい乳白色のものを選ぶとよいでしょう。果実によっては白色にほんのり赤みが差していることもあります。
白い桃は基本的に袋がけをして栽培されたもの。この「おかやま夢白桃」の糖度は高い部位で14.6度と甘味が強く、とろけるような舌触りで果汁が多くとてもおいしかったです
黄色い桃は無袋栽培で果皮が赤くなる
「黄金桃」や「黄美娘(きみこ)」などの黄色い桃は、果皮全体が鮮やかな黄色で、みずみずしさを感じるものを選びましょう。
また黄色い桃の中には、果皮が黄色ではなく、赤く染まっていることもあります。これは袋がけをしない無袋栽培で育てられたものです。無袋栽培のものは、有袋栽培のものに比べると見た目が少し劣りますが、日光をしっかり浴びることで濃厚な味になります。
果皮が黄色い「黄金桃」。果肉も黄色で、濃厚な甘酸っぱさが楽しめます
この黄金桃は糖度の高い部分が約15度と甘味が強かったです
これは無袋栽培の「黄金桃」。果皮が赤く染まっています。こちらも甘酸が調和して美味でした
果皮がまだらに染まった「黄金桃」。これも甘くておいしかったです
桃の一番甘い部分はどこ?
当サイトがこれまでに計測した桃の糖度データをもとに、果実のどの部分が甘味が強いのかをイラストで紹介しています。また平均糖度も計算しました。
桃は枝についている軸側を「上」として、お尻(果頂部)を「下」とすると、上の平均糖度は約13.4度、中は約14.4度、下は約14.9度となりました。なお、皮に近い部分の果肉で計測しています。
桃の一番甘い場所はお尻の部分ということがわかります。そのためカットするときはくし形に切ると甘味が均等になります。
平均糖度 約14.2度
上の平均糖度 約13.4度
中の平均糖度 約14.4度
下の平均糖度 約14.9度
●このページでは実際に食べた経験も踏まえて、一般的な選び方をまとめています。しかし糖度やおいしさを保証するものではありません。記事を参考にしたのにおいしくなかった場合はどうぞご容赦ください。
●糖度の数値は当サイトが独自に計測したものです。「Brix値(ブリックス値)」は「%」で表されますが、ここではわかりやすく「度」で表示しています。また、使用している簡易糖度計では、糖分だけでなくクエン酸などの「酸」も計測されてしまうため、必ずしも糖分だけの結果とはなりません。それを踏まえたうえでご覧ください。
●糖度が高い=おいしい、ということではありません。しかし、平均値よりも糖度が高いものは実際においしく感じるものが多いです。
●糖度を測定した個数は約10~200個と果物によって異なります。品種の重複はありますが、例えばあんずは10品種(12個体)で、いちごは91品種(118個体)を計測しています。
●糖度分布があるイラストは、わかりやすくするため大げさな色分けにしています。