おいしい西洋梨の選び方
西洋梨は、選び方が少し難しい果物といえます。みかんやぶどうなどとは違い、かたい果実を収穫して、追熟によって完熟させるからです。未熟果は果汁が少なくて果肉がかたいですが、追熟させることでとろけるような口当たりになります。
軸の周りの肩の部分に弾力がある
基本的に店頭ではある程度追熟が進んだものが売られていますが、完熟果や完熟間近のもの、かたいものなど、いろいろな状態の西洋梨があります。
熟したものは、軸のまわりを肩の部分をそっとさわるとほんの少し弾力を感じます。また軸が枯れたようになったものは、だいたい食べ頃になっているので、この点を確認しましょう。ただし店頭で果実を押すと傷みの原因になるので気をつけてください。
この「グランドチャンピオン」は、軸が茶色くなっていてわずかに弾力を感じる程度でカットしました
カットしたグランドチャンピオン。甘みと酸味が調和していて香りもよく、なめらかな口当たりでとてもおいしかったです
黄色くなって甘い香りがすれば完熟
果皮の色が黄色っぽくなっているか、甘い香りがするかもチェック。「ル・レクチェ」「マルゲリット・マリーラ」「バートレット」「ゼネラル・レクラーク」「バラード」「コミス」などは、未熟な内は緑~黄緑色で、熟すと黄色みがかってきます。
また、ル・レクチェやコミスなどは熟すと甘い香りも漂うので、香りの有無も判断材料になります。
この「コミス」は少し黄色っぽく色づいていて食べ頃。糖度は最も高いところで19.7度あり、濃厚な甘さと適度な酸味でおいしかったです
この「ル・レクチェ」は果皮がきれいな淡い黄色になっていて香りも良好です
ル・レクチェをカットすると、果肉はきれいなクリーム色をしていて果汁も豊富。糖度は16度以上と甘味が強く、やさしい酸味でとろりとした口当たりでした
ラ・フランスは軸周りをチェック
「ラ・フランス」は熟しても果皮の色があまり変わらず、丸ごとのままでは香りも少なめ。そのため判断しにくいですが、完熟しているものは、軸が少ししんなりと枯れたようになっていたり、軸のまわりをそっとさわると少し弾力を感じます。
購入3日後の「ラ・フランス」。軸が枯れたようになってきました
カットして食べてみると、果肉は適度なやわらかさで、糖度は最も高いところで15.6度あり、甘味と酸味のバランスもよかったです
表面が茶色くなった「ラ・フランス」もあります。こちらも軸がしんなりしていればだいたい食べ頃。これは糖度が15.8度ありました
やわらか過ぎや変色のある果実は避ける
どの西洋梨も、明かにやわらかいものは熟し過ぎ。また、果皮の一部が打ち身のように変色しているものも傷んでいるので避けましょう。ひっかき傷があるものも、そこから傷んでくるのでやめておいたほうが無難。適度なかたさが残っていて、果皮に張りがあるものを選びましょう。
果皮が少し黄緑色をしたル・レクチェです。これを冷蔵庫の野菜室で3日間ほど追熟してカットしてみました
病気なのか果肉が褐変して傷んでいました。外から見て問題なくてもこういった失敗もあります。交換しに行くのも面倒なので、傷んだ部分を取り除いて食べたら香り豊かで意外においしかったです
これは果皮が傷だらけで、かなりやわらかくなっていたもの。香りはよかったのですが、カットしてみたらやはり中身は傷んでいて食べられませんでした
ふくよかな形でしっかりと重みを感じる
お尻がふくよかでいわゆる「洋梨型」をしていて、同じ大きさなら重量感があるほうがおすすめです。形が少しいびつなものもありますが、見た目はそれほど気にしなくてもよいでしょう。
きれいな黄色でお尻がでっぷりとした「マルゲリット・マリーラ」。果肉はトロリとなめらかで、香りがふわっと鼻に抜けます。糖度は高いところで15.1度ありました
すぐに食べないなら黄緑色を追熟させる
数日後に食べる場合は、明るい黄緑色のかためのもの(ラ・フランスはかためのもの)がよいでしょう。しばらく常温で置いておくと食べ頃になります。ただし、状態や環境によっては追熟に時間がかかったり、うまく追熟しないこともあるので、食べ頃のものを買うほうが失敗のリスクが少ないかもしれません。
この「ゼネラル・レクラーク」は購入3日後にカット。熟したように見えたのですが、まだかたくて追熟に失敗。仕方ないので少し水を加えてジャムにしました
早ければ8月中旬頃から出荷される「プレコース」という品種。これはまだかたくて食べられません
9日間追熟させたら黄色くなりました。和梨のようなジョリっとした食感が少しありましたが、果肉はソフトで、甘味の中にさわやかな酸味があって風味良好でした
西洋梨の一番甘い部分はどこ?
当サイトがこれまでに計測した西洋梨の糖度データをもとに、果実のどの部分が甘味が強いのかをイラストで紹介しています。また平均糖度も計算しました。
軸側を「上」として、お尻を「下」とすると、上の平均糖度は約13.8度で、中央の平均糖度は約14.8度、下の平均糖度は約15.3度となりました。なお、皮に近い部分の果肉で計測しています。
西洋梨の一番甘い部位は、お尻の部分という結果になりました。軸側よりもお尻のほうが糖度が高いので、くし形にカットした場合、軸側から食べていくのがおすすめです。
平均糖度 約14.5度
上の平均糖度 約13.8度
中の平均糖度 約14.8度
下の平均糖度 約15.3度
●このページでは実際に食べた経験も踏まえて、一般的な選び方をまとめています。しかし糖度やおいしさを保証するものではありません。記事を参考にしたのにおいしくなかった場合はどうぞご容赦ください。
●糖度の数値は当サイトが独自に計測したものです。「Brix値(ブリックス値)」は「%」で表されますが、ここではわかりやすく「度」で表示しています。また、使用している簡易糖度計では、糖分だけでなくクエン酸などの「酸」も計測されてしまうため、必ずしも糖分だけの結果とはなりません。それを踏まえたうえでご覧ください。
●糖度が高い=おいしい、ということではありません。しかし、平均値よりも糖度が高いものは実際においしく感じるものが多いです。
●糖度を測定した個数は約10~200個と果物によって異なります。品種の重複はありますが、例えばあんずは10品種(12個体)で、いちごは91品種(118個体)を計測しています。
●糖度分布があるイラストは、わかりやすくするため大げさな色分けにしています。