洋梨 西洋梨 Pear
基礎データ DATA
西洋梨の旬(出回り時期)
※これは西洋梨の出回り量の割合をグラフ化したものです。農林水産省統計 青果物卸売市場調査 品目別:主要卸売市場計(2023年)を参考にしています
西洋梨の概要
秋から冬にかけてが旬の西洋梨。代表的な「ラ・フランス」のほか、「ル・レクチェ」や「バートレット」「オーロラ」などさまざまな品種が店頭に並びます。外観はでこぼことしていて特徴的ですが、果肉はジューシーで甘くとろけるような食感をしていて、一度食べたらやみつきになるおいしさです。ただ、西洋ナシは追熟が必要なため、食べ頃を見極めるのが少し難しい面もあります。初めは失敗することもあるかもしれませんが、何度か試すとコツが分かってきますよ。
西洋梨の歴史
もともと温帯ヨーロッパや西アジアで原生していたといわれ、古代から栽培が行われていました。ドイツやイギリスで栽培が行われるようになったのは16世紀頃といわれています。
日本へは明治時代に伝わりましたが、栽培の難しさと見た目の悪さから定着はせず、昭和後半頃からようやく広まりました。
西洋梨の選び方(見分け方)
- 軸の周りの肩の部分に弾力がある
- 黄色くなって甘い香りがすれば完熟
- ラ・フランスは軸周りをチェック
- やわらか過ぎや変色のある果実は避ける
- ふくよかな形でしっかりと重みを感じる
- すぐに食べないなら黄緑色を追熟させる
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西洋梨の栄養と効能
おもな栄養成分(可食部100g中)
食物繊維(1.9g)、カリウム(140mg)
注目成分
フラバノールなど
期待される効能
便秘改善、高血圧予防、動脈硬化予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防、利尿作用、咳止め、がん予防
日本梨と同じく、水分と食物繊維が比較的多いので便秘改善によいでしょう。カリウムも日本梨と同様に含まれているので高血圧予防に効果があります。
また、西洋なしにはフラバノールやアントシアニンなどのポリフェノールも含まれているため、がん予防にも効果が期待できます。
より詳細な栄養成分については、「栄養成分(グラフ)」もしくは「栄養成分(一覧表)」に掲載しています。
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西洋梨の種類
ラ・フランス
フランスが原産で1864年に発見された品種。甘味の中にほんのり酸味があり、果汁たっぷりの果肉はとろけるような口当たりです。熟しても果皮の色はあまり変わらず、香りもさほど強くありませんが、軸の周りの果肉に弾力が出てきます。平均サイズは200~250gくらい。出荷されるのは10月下旬頃からです。またラ・フランスの枝変わりで果皮が茶色い「ゴールド・ラ・フランス」もあります。
ル・レクチェ
フランス生まれの洋梨で、重さは250~400gくらい。緻密な果肉は糖度が高く、ジューシーでなめらかな食感が特徴です。収穫時期は10月下旬頃ですが追熟に1か月ほどかかるため、市場に出回るのは11月下旬頃から。熟すと果皮がきれいな黄色に染まり芳香が強まります。なお、親は「バートレット」と「フォーチュニー(フォルチュネ)」とされていましたが、遺伝子による鑑定の結果、バートレットとは親子関係にないことが判明したそうです。
バートレット
イギリス原産の西洋梨で、世界的にも生産量の多い品種です。果重は250g前後で、甘味の中にほどよい酸味があり、なめらかな舌触りが特徴です。果皮は黄緑色で、熟すと黄色になります。缶詰用としてもよく利用されています。また果皮の赤い「レッド・バートレット」もあります。店頭に並ぶのは9月上旬頃から。
オーロラ
アメリカニューヨーク州で誕生した洋梨で、親は「マルゲリット・マリーラ」×「バートレット」。1964年に「オーロラ」と命名され、日本へは1980年代に導入されました。とろけるような食感の果肉は上品な甘さで果汁も豊富。熟すと果皮が黄色くなり香りも強くなります。9月上旬に収穫される早生種です。
ゼネラル・レクラーク
ほかの西洋なしに比べると果皮の茶色い果点が多いのが特徴。熟すと果皮が黄色くなり、特有の香りがします。サイズは平均500gと大きく、甘味とほのかな酸味を持ち合わせています。果肉はきめが細かく多汁でなめらかな食感。原産はフランスで「コミス」の自然交雑から誕生したといわれています。出回るのは10月頃から。
マルゲリット・マリーラ
重さが500g前後になる大玉の西洋梨。1874年にフランスで発見されました。熟すと果皮全体が黄色くなり芳香が増します。果肉はやや繊維質ですが、果汁が豊富でとろけるような口当たり。ほのかな酸味と上品な甘味を持っています。9月下旬頃から出回ります。
シルバーベル
ラ・フランスの自然交雑によって山形県で誕生した品種です。平均450g前後の大玉で、大きいものだと700gを超えるものもあります。果皮は黄緑色で、完熟すると黄色みがかるのが特徴。濃厚な甘味と適度な酸味があり、豊かな風味が口の中に広がります。出回るのは11月~1月頃です。
バラード
「バートレット」×「ラ・フランス」を掛け合わせた山形県生まれの洋梨で、1999年(平成11年)に品種登録されました。甘味が強く、果肉の食感はなめらかで果汁も豊富。サイズは350g前後で、熟すと果皮が黄色みを帯びます。収穫時期は10月上旬頃。
フレミッシュ・ビューティ(日面紅)
19世紀初頭にベルギーで発見された西洋梨で、明治時代に日本に導入されました。日の当たった部分が赤くなることもあり、熟すと果皮がやや黄色みを帯びてきます。香りがよく甘味は強めで酸味は少なめ。果汁が多くてジューシーな食感です。店頭に並ぶのは10月頃。別名「日面紅(ひめんこう)」や「姫子(ひめこ)梨」などとも呼ばれています。
プレコース
フランス原産の洋梨で、8月に出回る品種です。甘味の中にさわやかな酸味があり、クセのない味わいです。なめらかな食感の中に少し和梨のようなシャリシャリ感もあります。緑色の果皮が黄色くなってきたら食べ頃。
ブランデーワイン
150g前後の小さめの西洋なしで、おもに北海道で生産されています。黄緑色の果皮は熟すと黄色みを帯びてきて、特有の甘い香りも漂います。甘味と酸味のバランスもよく、果汁も豊富です。8~9月頃から出荷されます。アメリカ原産。
グランドチャンピオン
アメリカのオレゴン州で発見され、1950年代に日本に導入されました。強い甘味とほどよい酸味が調和した濃厚な味わいで、果汁が多くトロリとした食感です。果皮全体が薄茶色のサビで覆われていて、熟すと黄色っぽくなります。サイズは300~350gほど。おもに北海道で栽培されています。
メロウリッチ
山形県で育成され2009年(平成21年)に品種登録された西洋梨。両親は「ミクルマス・ネリス」と「ラ・フランス」です。甘味が強く果肉はやわらかくてなめらかな舌触り。芳香があり、果汁が豊富でみずみずしい食感です。果皮全体が茶色いサビに覆われることが多く、地色の緑が黄色になれば食べ頃。ラ・フランスよりも少し早めに出回ります。
ドワイエンヌ・デュ・コミス
「ドワイエンヌ(ドワイエネ)・デュ・コミス」といい、栽培が難しく生産数が少ないため、店頭ではあまり見かけることはありません。上品でクリーミーな口溶けと絶妙な甘酸のバランス、豊かな芳香を持ちあわせています。重さは300g前後で、果皮は熟すと黄色みを帯びます。収穫は10月上旬頃から。
各地の年間収穫量 西洋梨
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
また、ページ上部の「基礎データ」にある「おもな産地」の数値は、下表の割合(シェア)を四捨五入したものです。
出典:農林水産省統計
2022年の西洋梨の収穫量のうち最も多いのは山形県で、約1万8,200トンの収穫量があります。2位は約2,110トンの収穫量がある新潟県、3位は約1,870トンの収穫量がある青森県です。
栽培面積・収穫高の推移
出典:農林水産省統計
2022年の西洋梨の栽培面積は約1,380ヘクタール。収穫量は約2万6,700トンで、出荷量は約2万3,700トンです。
品種ごとの作付面積
出典:農林水産省統計
2021年の西洋梨の作付面積は、1位はラ・フランスで約775ヘクタール。ラ・フランスだけで全体の60%以上を占めています。2位はル・レクチェで約125ヘクタール。3位はゼネラル・レクラーク、4位はバートレットとなっています。
主要生産国(上位5か国)
出典:FAOSTAT(2021年)
梨類生産の上位5か国は、中国、アメリカ、アルゼンチン、トルコ、南アフリカです。1位の中国の生産量は年間約1,926万5,300トンで全体の約73%を占めています。2位のアメリカは年間約58万4,230トンで全体の約2%、3位のアルゼンチンは年間約56万6,227トンで全体の約2%です。
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