みかんや柿の種あり/なしの謎

種なし果実になる仕組み

温州みかんや柿の一部には種が入っていないものがありますが、これらはなぜなのでしょうか。

果実は基本的に受粉すると種ができ、種があるおかげで果実が大きくなります。しかし果物の中にはちゃんと「受精」ができず、種ができないまま果実が成長するものがあります。これを「単為結果(たんいけっか)」といいます。温州みかんや柿の一部、いちじくがこのタイプで、単為結果でできた果実は、受粉していないので「種なし果実」になるのです。

単為結果性が高いと種ができにくい

通常、果物が成長する過程で種ができないと、落果しやすかったり、肥大しないことがあります。ところが単為結果性の高い温州みかんや柿の「次郎」、最初から種なしのぶどう「ヒムロッドシードレス」などは子房内の植物ホルモンが多いため、種がなくても子房が成長するのです。

なお、柿の「平核無(ひらたねなし)」は受粉はしますが、成長の過程で胚の発育が停止するため種が形成されません。この現象を「偽単為結果」といいます。一方、甘柿の「富有」は種が入っていることが多いですが、これは単為結果性が弱いためです。つまり富有はきちんと受粉して種ができ成長する品種なのです。

種入りの温州みかんを作るには?

ちなみに温州みかんは花粉が発達しない「雄性不稔性(ゆうせいふねんせい)」を持っています。そのため花粉をめしべにつけても、子ども(種)ができません。しかし、種ができやすい甘夏やハッサクなどの花粉を温州みかんに受粉させると、種入り温州みかんができやすくなります。

ただし早生品種は胚を発育させない「雌性不稔性(しせいふねんせい)」も持つため、甘夏やハッサクの花粉をつけても種入りにはなりにくいです。もし種入りの温州みかんを作りたいなら、晩生の「青島」に甘夏やハッサクの花粉を受粉させるといいでしょう。

なお、人工的に作られる種なしぶどうについてはこちら「種なしぶどうはどうやって作るの?」、種なしスイカについてはこちら「種なしスイカはどうやって作るの?」にまとめています。