すだち 香酸柑橘

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基礎データ DATA

すだちの特徴

すだち

「すだち」は徳島県の特産で、松茸の土瓶蒸しや焼き魚などの風味付けに利用される柑橘です。果皮はかためで濃い緑色をしていて、サイズは20~40gくらいと小ぶり。上品で風味のよい香りを持ち、酸味が強いのが特徴です。

すだちの来歴は不明ですが、ゆずの近縁種と考えられていて、徳島県では古くから利用されていました。小野嵐山の「大和本草批正」(1780年)では、「リマン」という柑橘の解説において「阿州方言スダチと云う」と記されています。ただし、このリマンが現在のすだちと同じものなのかどうかはわかりません。

1960年代以降、すだちは生産量が増えて全国的に消費されるようになりました。ちなみに「すだち」という名前は「すたちばな(酢橘)」が縮まったものとされています。

すだちは露地栽培とハウス栽培のものがあり、年間を通して流通していますが、風味がよいのは9~10月頃に収穫される露地栽培のものとされます。初期に収穫したものは一部貯蔵されて3月頃まで出回り、春から夏にかけてはハウスものが流通します。

なお、すだちは「かぼす」と似ていますが、かぼすは大分県の特産でサイズが80~120gと大きめの香酸柑橘です。

すだちの選び方(見分け方)

すだち

果皮全体が濃い緑色でツヤと張りがあり、持ったときに重みを感じるものを選びましょう。軽いものは果汁が少なく、果皮にしわが寄ったものは鮮度が落ちています。

露地栽培されたものは果皮が厚めでかたいですが、香りと風味はよく、ハウスものは皮がやや薄めで比較的酸味がまろやかです。

すだちの保存方法

乾燥しないようラップで包むかポリ袋に入れて冷暗所または冷蔵庫の野菜室で保存します。皮のかたいものは比較的長持ちしますが、ハウスものはあまり日持ちしないので早めに使用しましょう。保存中に皮が黄色くなってくると香りと酸味がやや減少しますが、味にはあまり影響ありません。

長期保存したい場合は冷凍しておくとよいでしょう。丸ごとまたは1/2や1/4にカットしたものを1つずつラップで包んで冷凍庫へ。使うときに自然解凍すれば、必要な分だけ使えて便利です。果汁を搾って製氷器に入れて凍らしておいてもよいでしょう。

すだちの食べ方

果汁をしぼってサンマなどの焼き魚や松茸料理にかけると、料理の味が引き立ちます。また、ハチミツや砂糖を加えて水で薄めてジュースにしたり、お酒に入れてさわやかな味を楽しむこともできます。

ほかにもポン酢やドレッシングに利用したり、うどんや冷製パスタにサッとかけたり、ジャム(マーマレード)にするなど用途はさまざまです。

また、すだちの皮はすり下ろせば薬味にもなります。唐辛子とまぜれば「ゆず胡椒」ならぬ「すだち胡椒」のできあがりです。

すだちの種類

すだちは店頭では「すだち」としか表記されませんが、いくつもの系統があり、サイズや種の有無、枝のトゲの多さなどに違いがあります。トゲが短く玉揃いのよい「徳島1号」や、トゲが小さく少なめで果汁が豊富な「本田系」、種なしの「徳島3X1号(愛称:ニューすだち)」などがあります。徳島3X1号は徳島県果樹試験場県が育成した品種で、2004年(平成16年)に品種登録されています。

すだちの栄養

すだちの香りはリモネンなどの成分によるもので、精神をリラックスさせたり食欲を増進させる効果があるといわれています。また果皮に含まれる「スダチチン」という成分には脂質の代謝を改善する効果があるそうです。酸味のもとであるクエン酸は疲労回復に作用します。

すだちの旬(出回り時期)

露地ものは8月下旬から10月頃が収穫シーズンで、貯蔵されたものが3月頃まで出回ります。ハウスものは3月中旬から8月中旬頃に収穫されます。

参考:東京都中央卸売市場

各地の年間収穫量 スダチ

出典:農林水産省統計

2021年のスダチの収穫量のうち最も多いのは徳島県で、約4,057トンの収穫量があります。2位は約22トンの収穫量がある高知県、3位は約10トンの収穫量がある愛媛県です。

栽培面積・収穫高の推移

出典:農林水産省統計

2021年のすだち(酢橘)の栽培面積は約388ヘクタール。収穫量は約4,104トンで、出荷量は約3,853トンです。

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