文旦 カンキツ類
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基礎データ DATA
文旦の特徴
「ブンタン(文旦)」はマレー半島からインドシナにかけての地域が原産。室町時代末期に日本に渡来したといわれています。現在栽培されているものの多くは、明治時代以降に台湾や中国から導入した穂木から育成、交雑されたものです。
果肉は張りと弾力があって香り豊か。ほのかにブンタン特有の苦味がありますが、さわやかな甘みと酸味が楽しめます。果汁の多少は品種によって異なり、また果肉の色は基本的に淡黄色ですが、淡紅色の品種もあります。
ブンタンは「ザボン」や「ボンタン」ともいわれ、果肉が紅肉のものは「ウチムラサキ(内紫)」とも呼ばれます。ザボンはポルトガル語の「Zamboa」が由来とされています。また英名は「ポメロ(Pomelo)」で、海外から輸入されたものは「ポメロ」で流通することが多いようです。
ブンタンは高知県の「土佐ブンタン」や鹿児島県の「阿久根ブンタン」、長崎県の「平戸ブンタン」などたくさんの品種があります。これは、ブンタンの多くが単胚性(種子の中の胚の数が1つで交雑種子を得るのが容易)で、自然交雑によって性質の異なる品種ができやすいという特性があるからです。ブンタンは日本に根付き、各地でいろいろな品種が誕生しました。
ちなみに中国や台湾では偏球形で大きな果実は「文旦」ではなく「柚」の字が使われ、「麻豆文旦」のような長卵形のものが「文旦」になるそうです。
文旦の選び方(見分け方)
全体がきれいに色づき、皮に張りがあるものを選びましょう。また、ずっしりと重みを感じるものがおすすめです。ブンタンはサイズが大きいほうが見た目がよいですが、小さめでも味はしっかりしています。また皮にうすいシミや傷があることがありますが、味にはほとんど影響ありません。
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文旦の保存方法
風通しのよい冷暗所で保存しましょう。ブンタンは皮が厚いので比較的日持ちがよく、状態がよければ1か月くらい持ちます。また酸味が強い場合は、しばらくおいておくと酸味が少しやわらぎます。ただし、長期間放置すると水分が抜けてしまい、パサパサとした食感になるので注意してください。
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文旦の食べ方
ブンタンは皮が厚くてむきにくいので、ナイフで少し切り込みを入れてからむくとよいでしょう。じょうのう膜(薄皮)も厚くて苦味があるので、袋をむいて中の果肉を取り出して食べます。基本的に種は多めです。
じょうのう膜は皮離れがよいのであまり手を濡らすことなく食べられます。ただし「水晶文旦」は果汁が豊富なので、食べる際にはフキンなどを用意しましょう。
ブンタンはジャムやゼリー、シロップ漬け、お菓子などの材料にも適しています。皮の白い部分(アルベド)は砂糖漬け(ブンタン漬け)にして食べられます。
土佐文旦
主に高知県で栽培されているブンタンで、甘みがあり苦みは控えめ。果汁は少なめで果肉がしっかりしています。もともと鹿児島県にあった「法元文旦」が1930年頃に高知に導入され、この名前になりました。400g前後が標準的なサイズです。
水晶文旦
高知県の特産で、果汁が多く、果肉がやわらかいのが特徴。糖度が高めでさわやかな酸味がありとても食味のよいブンタンです。「晩王柑」と「土佐ブンタン」の交雑種といわれ、高知県で誕生し、1958年(昭和33年)に命名されました。
阿久根文旦(あくねぶんたん)
鹿児島県阿久根地方の特産で「阿久根ボンタン」とも呼ばれ、鹿児島県の銘菓「ボンタンアメ」にも使われています。800g~1kgとサイズが大きく、果皮が黄色で果肉は淡紅色。さじょう(果肉)の一粒一粒に弾力があり歯触りのよい食感です。白いワタ(アルベド)はとても厚く、ザボン漬けに適しています。別名「本田文旦」。
平戸文旦(ひらどぶんたん)
長崎県の特産の大きなブンタン。偏球形で果皮は分厚く800g~1kgくらいの重さがあります。品種改良にも使われていて、「イエローポメロ」と「メイポメロ」という品種は、果樹研究所が「ハッサク」×「平戸文旦」を掛け合わせて開発しました。また「紅まどか」という品種は、「麻豆ブンタン」と「平戸ブンタン」の交雑種です。
大橘(パール柑)と安政柑
大橘(おおたちばな)は鹿児島県が原産で、来歴は不明ですがブンタンの血を引いています。鹿児島県では公募で命名した「サワーポメロ」、熊本県では「パール柑」の名前で流通しています。果皮がなめらかで苦味は少なく、果肉は張りがあって香りがよく、さわやかな甘酸っぱさです。重さは600gくらい。
また安政柑(あんせいかん)は、江戸時代の安政年間に広島県因島市で誕生した柑橘で、明治時代後期に命名されました。果実は1kg前後と大きく、甘酸適和で苦味は少なめでサッパリとしたさわやかな風味です。おもに広島県や山口県で栽培されています。
「晩白柚(ばんぺいゆ)」についてはこちらを参照ください
文旦の旬(出回り時期)
ブンタンが多く出荷されるのは2月から4月頃。高知県が主産地です。
参考:東京都中央卸売市場
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各地の年間収穫量 ブンタン
出典:農林水産省統計
2021年のブンタンの収穫量のうち最も多いのは高知県で、約8,455トンの収穫量があります。2位は約203トンの収穫量がある愛媛県、3位は約108トンの収穫量がある鹿児島県です。
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栽培面積・収穫高の推移
出典:農林水産省統計
2021年の文旦(ブンタン)の栽培面積は約453ヘクタール。収穫量は約8,886トンで、出荷量は約7,972トンです。