パイナップル 鳳梨 Pineapple
基礎データ DATA
パイナップルの旬(出回り時期)
※これはパイナップルの出回り量の割合をグラフ化したものです。農林水産省統計 青果物卸売市場調査 品目別:主要卸売市場計(2023年)を参考にしています
パイナップルの概要


缶詰や酢豚、夏祭りの屋台などいろいろなシーンで目にするパイナップル。ひと口大に切って冷凍すれば、シャーベットとしても楽しめます。日本で販売されているものの多くが輸入品で、中でもフィリピン産が8割以上になります。国内産はおもに沖縄産で5~8月に出回ります。
酢豚にパイナップルが使われるのは、ヨーロッパ人向けの味付けにしたため、といわれています。以前当サイトでは、タンパク質分解酵素「ブロメライン」がお肉をやわらかくする、という説を紹介していましたが、タンパク質分解酵素は熱に弱く、加熱する料理では意味がないとのことです。
パイナップルの歴史

パイナップルは1000年以上前からブラジル南部、アルゼンチン北部、パラグアイにかけた地域で栽培されていました。そして1493年にコロンブスの第2次探検隊が西インド諸島でパイナップルを発見。大航海時代の波に乗り、16世紀にはスペイン、アフリカ、アジア、フィリピンなどにも渡来しました。日本には江戸時代末期にオランダ船によって運ばれたといわれ、本格的に栽培が始まったのは1930年頃です。
パイナップルの栄養と効能
おもな栄養成分(可食部100g中)
マンガン(0.76mg)、ビタミンB1(0.08mg)、カリウム(150mg)
注目成分
ブロメライン
期待される効能
疲労回復、高血圧予防、動脈硬化予防、脳梗塞予防、心筋梗塞予防、消化促進
パイナップルにはマンガンとビタミンB1が比較的多く含まれています。マンガンは骨や間接の形成やエネルギー生成などに働き、ビタミンB1は疲労回復に役立ちます。また、カリウムも多く含まれているので高血圧予防や動脈硬化予防などに効果が期待できるでしょう。
パイナップルの果汁には「ブロメライン」というタンパク質分解酵素が含まれています。これは肉をやわらかくする効果があり、肉と一緒に食べることで消化を促進してくれます(※ブロメラインは加熱すると失われます)。なお、未熟な果実には針状結晶の「シュウ酸カルシウム」が多く含まれていて、舌がヒリヒリしたり口の中が荒れることがあるので注意してください。
より詳細な栄養成分については、「栄養成分(グラフ)」もしくは「栄養成分(一覧表)」に掲載しています。
栄養成分表を見る
パイナップルの種類
スムースカイエン

スムースカイエン種は世界的に多く生産されているパイナップルで、この種に属する「N67-10」は「ハワイ種」とも呼ばれ、沖縄本島や石垣島などでも栽培されています。酸味と甘味のバランスがよく、果汁も豊富。完熟した果肉は口の中でとろけるやわらかさです。生食はもちろん、缶詰やジュースにも最適。サイズは1~1.5kgくらいです。
ボゴール(スナックパイン)

別名「スナックパイン」ともいわれる台湾原産の品種で、果肉を手でちぎって食べられるお手軽なパイナップルです。お尻の部分をカットしたら、あとは節を引っ張ってちぎればOK。糖度が高くて酸味が少なく、また、芯も比較的やわらかくて甘いのでたっぷり食べられます。ただ葉にトゲがあるので注意してください。1玉700g~1kg程度で、沖縄県産は4~8月頃に出回ります。
ピーチパイン(ソフトタッチ)

沖縄県で栽培されている「ソフトタッチ」という品種で、1999年(平成11年)に登録されました。甘味が強く、果肉が白っぽくて甘い香りがすることから「ピーチパイン」または「ミルクパイン」とも呼ばれます。果皮は未熟なときはやや黄色っぽくて、熟すと全体が赤みがかってきます。サイズは1玉あたり600~800g程度と小ぶり。収穫時期は4~7月頃です。
ゴールドバレル

2009年(平成21年)に品種登録されたパイナップル。沖縄県農業研究センターにおいて「クリームパイン」×「McGregor ST-1」を交配して育成されました。おもに沖縄本島や石垣島で栽培されていて、重さは1400gくらいと大きめ。鮮やかな黄色の果肉はやわらかく、酸味が少なくて糖度が高いため、甘味をたっぷり感じられます。6月下旬~7月頃が収穫時期です。
サマーゴールド

「クリームパイン」と「McGregor ST-1」の掛け合わせから育成され、2004年(平成16年)に品種登録されました。円筒形でサイズは1000gほど。果汁が豊富でやわらかな果肉は甘味が強く酸味は少なめ。食味のよいパイナップルです。おもな栽培地は沖縄本島と石垣島で、7月~8月頃がシーズンです。
デルモンテゴールド

デルモンテ社が独自で改良した品種で、糖度が高く甘味の強いパイナップルです。果肉が濃い黄色をしていて、甘い香りが広がります。サイズは1~1.5kgくらいでジュースにも使用されます。「ゴールドパイン」や「ゴールデンパイナップル」などともいわれますが、正式名は「デルモンテ ゴールド」です。
スウィーティオパイナップル

こちらはドール社のオリジナルブランドで、日本人の味覚にあわせて開発されました。酸味が控えめで甘味が強く、香りも豊かなパインです。フィリピンのミンダナオ島で栽培されていて、「スイーティオパイン」や「黄金パイン」とも呼ばれます。
芳香パイン

「香水パイン」ともいい香りが豊かで、甘味と酸味のバランスがよく、「ボゴールパイン」のように手でちぎって食べられるパイナップルです。台湾原産で、外見や芯まで食べられる点もスナックパインに似ていますが、葉にトゲがないので扱いやすいのが魅力。サイズは700g~1.3kg程度。6~7月に出回りますが生産量は少なめです。
各地の年間収穫量 パイナップル
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
また、ページ上部の「基礎データ」にある「おもな産地」の数値は、下表の割合(シェア)を四捨五入したものです。
出典:農林水産省統計
パイナップルは沖縄県で栽培されています(沖縄県以外の統計データはありません)。2022年の収穫量は約7,420トンとなっています。
栽培面積・収穫高の推移
出典:農林水産省統計
2022年のパイナップルの栽培面積は約313ヘクタール。収穫量は約7,420トンで、出荷量は約7,270トンです。
品種ごとの作付面積
出典:農林水産省統計
2021年のパイナップルの作付面積は、1位はN67-10で約287ヘクタール。全体の約49%を占めています。2位はボゴールで約163ヘクタール。ボゴールも20%以上の作付面積があります。3位はソフトタッチ、4位はゴールドバレルとなっています。
パイナップルの輸入先と輸入量
出典:財務省統計
パイナップルは7か国から輸入されています。輸入先トップはフィリピンで輸入量は約14万8,657トン、全体の90%以上を占めています。2位は台湾の約1万5,216トンで全体の約9%程度です。3位はインドネシアの約206トン。4位は約27.6トンのベトナムと続きます。
パイナップルの輸出先と輸出量
出典:財務省統計
パイナップルはマレーシア、香港、カナダの3か国へ輸出されています。マレーシアへの輸出量は約646キロで、全体の60%以上を占めています。香港への輸出量は約310キロで、全体の30%以上を占めています。カナダへの輸出量は約46キロです。
年別輸出入量
出典:財務省統計
パイナップルは輸入と輸出が行われています。2023年の輸入量は約16万4,143トンで輸入額は約191億5,039万円。輸入量は前年と比べると1万2,291トン(約7%)減少しています。また、輸出量は約1トンで輸出額は約129万円。輸出量は前年と比べると438キロ(約78%)増加しています。
主要生産国(上位5か国)
出典:FAOSTAT(2021年)
パイナップル生産の上位5か国は、インドネシア、フィリピン、コスタリカ、ブラジル、中国です。1位のインドネシアの生産量は年間約320万3,775トンで全体の約11%を占めています。2位のフィリピンは年間約291万4,425トンで全体の約10%、3位のコスタリカは年間約290万9,750トンで全体の約10%です。
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