カリン 花梨 Chinese quince
基礎データ DATA
カリンの概要
秋になると黄色い果実をつけるかりん。完熟したかりんの果実は特有の芳香を有し、咳止めの効果もあることから健康によい果実として知られています。
ただし生のままだとかたく、果肉がザラザラとしていて渋みもありおいしくありません。一般的には果実酒やハチミツ漬けなどに利用されています。
かりんによく似た果物に「マルメロ」があります。両者はとても似ていますが、見分けるポイントは果皮のうぶ毛(綿毛)の有無です。マルメロは果皮に短いうぶ毛が生えていますが、かりんは表面がツルツルで毛が生えていません。また、かりんは基本的に楕円形ですが、マルメロは西洋梨のように少しゴツゴツしている傾向があります。
かりんやマルメロの産地は長野県や香川県、山形県など。なお、長野県など一部の地域ではマルメロを「かりん」と呼んでいます。マルメロに関しては「マルメロのページ」をご覧ください。
カリンの歴史
かりんの原産地は中国で、古くから薬用や観賞用などとして利用されていました。平安時代までには日本に渡来していたといわれていて、中国と同様に鑑賞や薬用などに利用されていたようです。
中国の書物「本草綱目(1578年頃)」には、かりんの生薬は「榠櫨」の名で、「解酒(酔いさまし)や去痰(痰の除去)に効果がある」と記されています。
また、小野嵐山の「本草綱目啓蒙(1803年頃)」のかりん(榠櫨)の項目には、「酸味と渋みがあって食べにくいので蜜を使ってお菓子にする。これをカセイタという」と記されています。ただしこの「カセイタ」とはかりんではなく、マルメロをつぶして砂糖と一緒に煮詰めたお菓子のことです。
カリンの栄養と効能
おもな栄養成分(可食部100g中)
カリウム(270mg)、食物繊維総量(8.9g)
期待される効能
風邪予防、高血圧予防、動脈硬化予防、脳梗塞予防、心筋梗塞予防
かりんには高血圧予防によいとされるカリウムが比較的多く含まれています。食物繊維も豊富ですが、かりんは基本的に果肉は食べないので効果はあまり期待できません。また、のどによいといわれているので風邪予防にもよいでしょう。
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カリンの種類
カリン
秋が旬のかりんは、完熟すると果皮が黄緑色から黄色に変わり芳香を放ちます。果肉がかたく渋みもあるため生食できませんが、砂糖漬けや果実酒などにしてエキスを利用することで独特の風味が楽しめます。
各地の年間収穫量 かりん
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
また、ページ上部の「基礎データ」にある「おもな産地」の数値は、下表の割合(シェア)を四捨五入したものです。
出典:農林水産省統計
2020年のかりんの収穫量のうち最も多いのは香川県で、約20トンの収穫量があります。2位は約16トンの収穫量がある千葉県、3位は約15トンの収穫量がある山形県です。
栽培面積・収穫高の推移
出典:農林水産省統計
2020年のかりんの栽培面積は約15ヘクタール。収穫量は約71トンで、出荷量は約51トンです。