バナナ 甘蕉(実芭蕉) Banana
基礎データ DATA
バナナの旬(出回り時期)
※これはバナナの出回り量の割合をグラフ化したものです。農林水産省統計 青果物卸売市場調査 品目別:主要卸売市場計(2023年)を参考にしています
バナナの概要

バナナは栄養が豊富でかつ1年を通して手頃な価格で食べられるとても優れた果物です。
現在、日本に輸入されているバナナはフィリピン産の「キャベンディッシュ」という品種が7割以上を占めます。輸入バナナは青いうちに収穫し、エチレンという植物ホルモンで追熟させることによって黄色くさせます。
バナナの歴史


バナナがいつ頃から栽培され始めたのかは定かではありませんが、紀元前8000年~紀元前3000年頃には東南アジア地域で食べられていたようです。その後、紀元前2000~紀元500年頃までにはインド、東アフリカまでに伝わり、エジプトなどにも交易品として持ち込まれていました。
アメリカ大陸に伝わったのは、ポルトガル人がバナナを発見した15世紀以降のこと。西アフリカからハイチを経由して、中央アメリカや南アメリカへと伝わったとされています。
日本では正式に輸入が開始されたのは1903年(明治36年)で、台湾産のバナナです。
バナナの保存方法

- 冷暗所で保存する
- かたいバナナは常温で追熟
- シュガースポットが出たものは早めに消費
- ラップして冷蔵保存すれば日持ちアップ
- 常温vs冷蔵庫で約2週間バナナの日持ちを検証
- 軸をラップで包むと黒ずみ防止に?(実験)
- バナナハンガーに吊して保存
- 皮をむいて冷凍してスムージーなどに
バナナの保存方法を見る
バナナの栄養と効能
おもな栄養成分(可食部100g中)
カリウム(360mg)、食物繊維総量(1.1g)、マグネシウム(32mg)
注目成分
フラクトオリゴ糖
期待される効能
便秘改善、高血圧予防、動脈硬化予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防、糖尿病予防、がん予防
バナナにはナトリウムの排出を促して血圧の上昇を抑える効果のあるカリウムが豊富に含まれています。そのため脳梗塞や心筋梗塞などの予防に効果が期待できます。
食物繊維やフラクトオリゴ糖が消化を促進し、便秘改善にも効果的です。フラクトオリゴ糖には腸内のビフィズス菌を増やす効果があるといわれています。また、普段からバナナを食べている人は大腸がんになりにくいともいわれています。
バナナにはほかの果物と比べてマグネシウムが多いのも特徴です。マグネシウムは新陳代謝に欠かせません。
より詳細な栄養成分については、「栄養成分(グラフ)」もしくは「栄養成分(一覧表)」に掲載しています。
栄養成分表を見る
バナナの種類
フィリピンバナナ

フィリピンバナナのほとんどが「キャベンディッシュ」という品種です。しっかりとした厚い皮をしていて日持ちがよく、果肉はなめらかでさっぱりとした甘さがあります。また、標高400~1000mの高原で栽培されたものは「高原バナナ」として流通し、メーカーによっては「スウィーティオ」や「プレシャス」、「甘熟王」などのブランド名をつけて販売しています。高原バナナは普通のバナナに比べて、甘さと栄養価に優れているといわれています。
台湾バナナ

台湾で栽培されているバナナで、品種としては「北蕉」や「新北蕉」があります。フィリピンバナナに比べると果実が少し短めでやや太く、果肉は緻密でねっとりとした舌触り。香りが強く、甘くて濃厚な味わいです。ただ、台湾産は流通量が全体の1%程度しかなく、価格も若干高めです。昭和初期から中期にかけては高級果物として扱われていました。
エクアドルバナナ

「サニートバナナ」や「エナーノバナナ」というブランドが人気。品種としては「グラネイン」が多いようです。見た目はフィリピンバナナに似ていて、独特の深みのある甘さを持っています。また長さが15cmほどで皮が薄い「オリート」も糖度が高いバナナです。最近は同じ南米のペルー産バナナもよく見られます。
モンキーバナナ

「セニョリータ」という品種のバナナで、長さが7~9cmほどの小さくてかわいいバナナです。皮は薄く、果肉はやわらかくて濃厚な甘味を持っています。小さいお子さんのちょっとしたおやつにも最適。おもにフィリピンから輸入しています。
レッドバナナ

「モラード」という品種のバナナで、果皮の色が赤茶色っぽくなるのが特徴です。果実はやや短く、形は少し太めの円筒形。果肉は普通のバナナと同じように黄白色をしていて、さっぱりとした甘さがあります。おもな輸入先はフィリピンやエクアドルです。
島バナナ

おもに沖縄県や奄美諸島で栽培されている長さ10~15cm程度、太さ3cm前後の小型バナナです。台風の影響を受けやすく、生産数が安定しないことから、本州ではほとんど流通していません。味は濃厚で、適度な甘味と酸味があります。
ピサンマスバナナ

「モンキーバナナ」によく似ている長さが7~9cmくらいの小さなバナナです。マレーシア原産でフィリピンの高地でも栽培されています。味は普通のバナナと同じく甘味があり、ねっとりとした食感です。
バナップル

株式会社スミフルが開発した少し小ぶりなバナナ。「バナップル」という名前は「バナナ」と「アップル」を合わせたもので、フルーティーな甘味と酸味が楽しめます。熟してもシュガースポット(黒い点)は出ずに、皮全体が黒っぽくなるのが特徴。皮が薄いため1房ずつ緩衝材で包まれています。※現在販売は終了しています
各地の年間収穫量 バナナ
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
また、ページ上部の「基礎データ」にある「おもな産地」の数値は、下表の割合(シェア)を四捨五入したものです。
出典:農林水産省統計
バナナはおもに沖縄県、鹿児島県、宮崎県で栽培されています。沖縄県の収穫量は約85トンで、全体の50%以上を占めています。鹿児島県の収穫量は約63トンで、全体の40%近くを占めています。宮崎県の収穫量は約20トンです。
栽培面積・収穫高の推移
出典:農林水産省統計
2021年のバナナの栽培面積は約43ヘクタール。収穫量は約168トンで、出荷量は約143トンです。
バナナの輸入先と輸入量
出典:財務省統計
バナナは14か国から輸入されています。輸入先トップはフィリピンで輸入量は約81万7,540トン、全体の80%近くを占めています。2位はエクアドルの約9万5,189トンで全体の約9%程度です。3位はメキシコの約6万7,737トン。4位は約1万7,904トンのグアテマラと続きます。
年別輸出入量
出典:財務省統計
バナナは海外から輸入されています。2023年の輸入量は約103万5,461トンで輸入額は約1,349億1,248万円です。輸入量は前年と比べると1万9,475トン(約2%)減少しています。
主要生産国(上位5か国)
出典:FAOSTAT(2021年)
バナナ生産の上位5か国は、インド、中国、インドネシア、ナイジェリア、ブラジルです。1位のインドの生産量は年間約3,452万8,000トンで全体の約26%を占めています。2位の中国は年間約1,177万6,800トンで全体の約9%、3位のインドネシアは年間約924万5,427トンで全体の約7%です。
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