メロン 甜瓜 Melon
基礎データ DATA
メロンの旬(出回り時期)
※これはメロンの出回り量の割合をグラフ化したものです。農林水産省統計 青果物卸売市場調査 品目別:主要卸売市場計(2023年)を参考にしています
メロンの概要
メロンは果肉の色によって「赤肉系」、「青肉系」、「白肉系」に分けられます。赤肉は夕張メロンやクインシーメロンがよく知られていて、青肉ではアールスメロンやアンデスメロンなどが有名。また、白肉にはホームランメロンなどがあります。
さらに、網の有無によって「ネット系」、「ノーネット系」にも分けられます。ネット系メロンは、成長過程で果肉が果皮よりも大きくなろうとして、そのときに果皮がひび割れてしまいます。このひび割れをふさごうとしてできたコルク層がネットになるのです。一般的には、ネットの模様が均等であるほど良品とされ商品価値が高くなります。
メロンの栽培法にはガラス温室、ビニールハウス、トンネル栽培、露地栽培がありますが、国内では多くの品種がハウス栽培とトンネル栽培で作られています。またガラス温室ではアールスメロン(マスクメロン)など高級メロンが栽培されています。
※農林水産省ではメロンやスイカ、イチゴを「果物」ではなく、「果実的野菜」として分類していますが、ここでは果物として紹介します
メロンの歴史
ヨーロッパにおけるメロンの歴史は古く、古代エジプトや古代ギリシャにおいてメロンの仲間が栽培されていたことが分かっています。しかし、メロンは暖かい地方でしか栽培できなかったため、気候のそぐわない北ヨーロッパ地域で栽培が行われるようになったのは14~16世紀以降といわれています。
日本で現在のような温室メロンが生産され始めたのは大正時代になってからですが、少なくとも弥生時代にはすでにメロンの仲間「マクワウリ」が栽培されていたようです。それを裏付ける証拠として、日本各地の遺跡から土器などとともにマクワウリの種が見つかっています。
メロンの栄養と効能
おもな栄養成分(可食部100g中)
カリウム(350mg)、βカロテン(赤肉メロン:3600mcg)
期待される効能
利尿作用、高血圧予防、動脈硬化予防、脳梗塞予防、心筋梗塞予防、糖尿病予防、がん予防(赤肉メロン)、風邪予防(赤肉メロン)
メロンに含まれるカリウムの量は果物の中でも特に多く、高血圧や動脈硬化などの予防効果が期待できます。カリウムには水分バランスの調節をする働きもあり、利尿作用やむくみ解消にも効果的です。
また赤肉メロンはβカロテンの含有量がとても多く、抗酸化作用により老化抑制やがん予防に期待できます。赤肉メロンはかつては日持ちが悪く独特のカロテン臭がありましたが、現在は改善されて味も日持ちも大きく向上しています。
豊富に含まれるβカロテンには風邪予防にも効果があるとされます。
より詳細な栄養成分については、「栄養成分(グラフ)」もしくは「栄養成分(一覧表)」に掲載しています。
栄養成分表を見る
メロンの種類
マスクメロン(アールス)
高級メロンの代名詞でもあるマスクメロンですが、じつは「マスク」は品種名ではなく、麝香(じゃこう)の香りがする「musk」からきています。「アールスフェボリット」など香りのよいアールス系メロンを総称してマスクメロンといい、静岡県では独自改良した高品質なものを「クラウンメロン」として出荷しています。
夕張メロン
正式な品種名は「夕張キング」といい、親は「アールス・フェボリット」と「スパイシー・カンタロープ」で1961年(昭和36年)に命名されました。「夕張メロン」という名前は夕張市農業協同組合の登録商標で、この農協が定めた規格基準をクリアしたものだけに付けられます。果肉はオレンジ色で甘味が強く、果汁も豊富です。ただ、日持ちはあまりよくありません。
アンデスメロン
大きさは少し小ぶりで果皮に細かい網が入り、果肉は緑色でややかたく、味と香りはマスクメロンに似ています。価格がお手頃なことから人気が高く、ハウス栽培の主要品種となっています。親は「アールス系」×「不詳」。ちなみにアンデス山脈とは関係なく、発売当初(1977年)の「安心ですメロン」という名前の候補が由来です。2015年には赤肉の「赤いアンデス」も登場しました。
クインシーメロン
果肉がきれいなオレンジ色のネット系赤肉メロンで、なめらかな口当たりと深みのある甘さが特徴。ジューシーで甘い香りがします。シーズンは5~7月頃。平成に入ってから普及しました。
アムスメロン
やや楕円形で果皮は濃い緑色をしていて、網目が荒く溝のような縦じまがあるのが特徴です。果肉は淡緑色で甘味があり果汁も豊富。1974年(昭和49年)に発表されました。6月頃から出回ります。
タカミメロン(貴味メロン)
網目が細かくネットの盛り上がりが浅いのが特徴。果肉は緑色で糖度が15度前後と高くさわやかな甘味があります。果肉がややかためなので日持ちがよいのも魅力。1990年(平成2年)に発表されました。
オトメメロン
2000年(平成12年)に登場した青肉メロンです。果皮のネットが緻密で、果肉は薄い黄緑色をしています。果肉はみずみずしく糖度も高めで、さわやかな香りと甘味が味わえます。出荷時期は4~6月頃。
ルピアレッド
赤肉種で果皮のネットが細かく、おもに北海道で栽培されています。果汁が豊富でまろやかな甘さがあり、果肉がしっかりしているので日持ちも良好。北海道のブランドメロンである「らいでんメロン」や「富良野メロン」はいくつかの品種を扱っていますが、ルピアレッドもその1つです。ほかの品種に比べて熟期が早く、7~8月頃に出荷されます。
プリンスメロン
プリンスメロンは西洋種のメロン「シャランテ」とマクワウリの一種「ニューメロン」を交配して育成した品種です。果肉は黄緑色~淡いオレンジ色で甘味が強く、果皮がツルっとしていてサイズはやや小ぶり。1962年(昭和37年)に発表され、かつてはメロン市場のシェア1位でした。1970年代以降にさまざまな品種が登場したことで生産量は減少していますが、今でも人気のあるメロンです。
ホームランメロン
ホームランメロンは皮が乳白色でツルツルとしたノーネットメロンです。白肉の「ハニーデュー」と緑肉の「ハニーデュー」を掛け合わせて誕生しました。果肉も白く、口当たりはなめらかで上品な甘味があります。おもに熊本県や茨城県などで栽培されていて、出回り時期は3月から7月頃。「ホームランスターメロン」と表記されることもあります。
ハニーデューメロン
輸入メロンの大半を占めているのがこの品種で、ほとんどはメキシコ産とアメリカ産です。果皮が白くて、果肉は淡緑色のものと薄いオレンジ色のものがあります。まろやかな甘味で果汁が多く、果肉はややかたくて香りは少なめです。「ハネデューメロン」や「ハネジューメロン」などとも呼ばれています。
キンショーメロン
キンショーメロン(キンショウメロン)は「スペイン系メロン」と黄色い「マクワウリ」から誕生したメロンです。やや縦長の楕円形で、皮は濃い黄色をしていて網目がなく、果肉が白いのが特徴。肉質はややかためで歯ごたえがあり、さっぱりとした甘さです。4月頃から7月頃に店頭に並びます。
レノン
果肉が濃いオレンジ色で、果皮に細かい網目のあるネットメロン。2005年(平成17年)に登場した品種です。果汁が豊富で甘味が強く、種の部分が少なくて果皮が薄いため可食部分が多いのが特徴。日持ちのよさも魅力のひとつです。6月上旬頃から出回ります。
キスミー
1995年(平成7年)に誕生した緑肉系のネットメロン。「アールス系メロン」と「露地ネットメロン」から誕生した品種で、緑色の果皮に細かい網模様が入ります。上品な甘さで香りがよく、なめらかな口当たりが特徴です。シーズンは6月から9月頃。
肥後グリーン
果皮が濃い緑色のネットメロンで、名前の通り熊本県の特産です。やや大玉で果肉は黄緑色。糖度は15度以上と甘く、熟すとやわらかくてみずみずしい食味が楽しめます。5月下旬頃から収穫され7月頃まで店頭に並びます。
各地の年間収穫量 メロン
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
また、ページ上部の「基礎データ」にある「おもな産地」の数値は、下表の割合(シェア)を四捨五入したものです。
出典:農林水産省統計
2022年のメロンの収穫量のうち最も多いのは茨城県で、約3万3,700トンの収穫量があります。2位は約2万4,400トンの収穫量がある熊本県、3位は約1万9,900トンの収穫量がある北海道です。
栽培面積・収穫高の推移
出典:農林水産省統計
2022年のメロンの栽培面積は約5,790ヘクタール。収穫量は約14万2,400トンで、出荷量は約13万500トンです。
メロンの輸入先と輸入量
出典:財務省統計
メロンは8か国から輸入されています。輸入先トップはオーストラリアで輸入量は約3,773トン、全体の30%以上を占めています。2位はホンジュラスの約2,511トンで全体の20%以上を占めています。3位はメキシコの約2,111トン。4位は約1,964トンのアメリカと続きます。
メロンの輸出先と輸出量
出典:財務省統計
2022年には12か国に輸出され、トップは約1,170トンの香港です。2位は約65トンのシンガポール、3位は約32.5トンの台湾と続きます。
年別輸出入量
出典:財務省統計
メロンは輸入と輸出が行われています。2022年の輸入量は約1万1,573トンで輸入額は約25億1,849万円。輸入量は前年と比べると2,328トン(約17%)減少しています。また、輸出量は約1,308トンで輸出額は約13億2,434万円。輸出量は前年と比べると199トン(約18%)増加しています。
主要生産国(上位5か国)
出典:FAOSTAT(2021年)
メロン類生産の上位5か国は、中国、トルコ、インド、カザフスタン、アフガニスタンです。1位の中国の生産量は年間約1,420万547トンで全体の約50%を占めています。2位のトルコは年間約158万7,230トンで全体の約6%、3位のインドは年間約149万8,000トンで全体の約5%です。
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