ベリー類 Berry
基礎データ DATA
ベリー類の概要
ジャムやソース、果実酒などに使われることの多いベリー類。真っ赤なラズベリーはタルトやケーキなどでもよく使用されているので食べたことのある人は多いと思います。
ところでラズベリーやクランベリーなど「○○ベリー」という名前のものは同じ仲間のように思いますが、じつはそれぞれ分類が異なります。ラズベリーとブラックベリーは「バラ科キイチゴ属」で、いわゆる「木イチゴ」の一種です。
クランベリーはブルーベリーと同じ「ツツジ科スノキ属」で、グーズベリー(スグリ)とカシス(クロスグリ)は「スグリ科スグリ属」です。 北海道の特産であるハスカップは「スイカズラ科スイカズラ属」になります。
日本国内ではラズベリーが北海道や長野県、ブラックベリーが長野県や神奈川県などで栽培されています。また、滋賀県高島市では同じキイチゴ属の仲間のボイセンベリー(ボイズンベリー/アドベリー)が栽培されています。
ベリー類の歴史
ラズベリーはヨーロッパや北アメリカが原産地で、古代ローマ時代にはすでに栽培されていたそうです。17世紀にはイギリスで多くの品種が作られ、19世には北アメリカでも品種改良が行われています。ブラックベリーは北アメリカ東部が原産で、19世紀初頭にアメリカで栽培され始めたそうです。
クランベリーは北米が原産。日本ではあまり馴染みがありませんが、アメリカでは感謝祭の定番料理「七面鳥のロースト」にクランベリーソースは欠かせないそうです。そのため品種改良もなされ、大規模に栽培されています。
グーズベリー(グズベリー)はヨーロッパが原産で、日本には明治時代に導入されました。カシスはヨーロッパが原産といわれています。カシスは18世紀半ばにフランスで栽培されるようになり、薬用として使われていたそうです。
ハスカップはシベリアが原産といわれ、北海道のアイヌの人々に重用されていました。ハスカップという名前はアイヌ語で「枝の上にたくさんなるもの」という意味が由来だそうです。
ベリー類の栄養と効能
おもな栄養成分(可食部100g中)
ラズベリー:カリウム(150mg)、葉酸(38mcg)
注目成分
アントシアニン
期待される効能
風邪予防、美肌効果、がん予防、貧血予防、高血圧予防、動脈硬化予防、脳梗塞予防、心筋梗塞予防
ラズベリーには生活習慣病の予防によいとされるカリウムや、貧血予防に効果がある葉酸が含まれます。
またポリフェノールの一種「アントシアニン」が含まれるので眼精疲労の軽減に期待できます。
より詳細な栄養成分については、「栄養成分(グラフ)」もしくは「栄養成分(一覧表)」に掲載しています(ラズベリーとハスカップ、グーズベリーのみ)。
栄養成分表を見る
ベリー類の種類
ラズベリー
鮮やかな赤色でサイズは1~2cmくらい。小さな球がたくさん集まりコロッとした形をしています。甘酸っぱいラズベリーはケーキやタルトなどに添えてそのまま生食したり、ジャムや果実酒、ソースなどにも用いられます。品種としては「インディアンサマー」や「レッドジュエル」のほか、果実の黄色い「ゴールデンクイーン」や「ファールゴールド」、熟すと黒くなる「ブラックラズベリー(ブラックベリーとは異なります)」などもあります。日本では長野県や北海道でわずかに出荷されています。シーズンは6~10月頃です。
ブラックベリー
直径が2~3cmくらいで熟すと赤から黒色に変わります。ラズベリーと同様に小さな球がたくさん集まり小さなブドウのような形をしています。ほどよい甘味と酸味があり生で食べることが可能。またジャムやソースなどにも加工されます。ちなみにラズベリーは果実だけが取れますが、ブラックベリーは果実に花托(へたなどの部分)が付いてきます。収穫時期は7~8月頃。
クランベリー
直径が1cmくらいの楕円形のかたい果実で、果皮は熟すと濃い赤色になります。甘味もありますが酸味が強いため生食には適しません。ジャムやソース、ジュースやケーキ作りなどに使用されます。国内産は8~10月頃に収穫されます。
グーズベリー(スグリ)
「セイヨウスグリ」や「マルスグリ」ともいわれ、透明感のある緑色をしています。大きさは1cm前後で、熟すと赤紫色になります。甘酸っぱくてそのまま生でも食べられますが、ジャムやジュースにも最適。日本ではおもに北海道で栽培されています。また、似た種類に「フサスグリ(カラント/カーランツ/カリンズ)」もあります。
カシス(クロスグリ)
カクテルなどによく使われるカシスは、別名「クロスグリ」や「ブラックカラント」ともいいます。果実は濃紫色で丸く、直径は1cm程度。甘酸っぱくて香りがよく、完熟すると生食できるものもありますが、基本的にはジュースやお酒、お菓子などに加工されます。国内では青森県や岩手県などの東北地方で栽培されていて、収穫時期は7月中旬~8月上旬頃です。
ハスカップ
ハスカップ(クロミノウグイスカグラ)は、2~3cmの楕円形で青紫色をしています。甘酸っぱく多汁で独特の風味があり、生でも食べられますが日持ちはしません。また酸味が強いのでソースやジャム、お酒、お菓子、塩漬けなどに加工されることが多いです。国内の主産地は北海道の美唄市や名寄市などで、シーズンは6~7月頃。
各地の年間収穫量 ラズベリー
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
また、ページ上部の「基礎データ」にある「おもな産地」の数値は、下表の割合(シェア)を四捨五入したものです。
出典:農林水産省統計
ラズベリーはおもに秋田県、北海道、山形県で栽培されています。秋田県の収穫量は約2トンで、全体の30%以上を占めています。北海道の収穫量は約2トンで、全体の30%以上を占めています。山形県の収穫量は約2トンです。
栽培面積・収穫高の推移
出典:農林水産省統計
2021年のラズベリーの栽培面積は約5ヘクタール。収穫量は約5トンで、出荷量は約5トンです。
ベリー類の輸入先と輸入量
出典:財務省統計
ラズベリー、ブラックベリーはアメリカとメキシコから輸入されています。アメリカからの輸入量は約245トンで、全体の50%以上を占めています。メキシコからの輸入量は約222トンで、全体の40%以上を占めています。
年別輸出入量
出典:財務省統計
ラズベリー、ブラックベリーは海外から輸入されています。2022年の輸入量は約467トンで輸入額は約13億303万円です。輸入量は前年と比べると48.4トン(約9%)減少しています。
主要生産国(上位5か国)
出典:FAOSTAT(2021年)
ラズベリー生産の上位5か国は、ロシア、メキシコ、セルビア、ポーランド、アメリカです。1位のロシアの生産量は年間約19万7,700トンで全体の約22%を占めています。2位のメキシコは年間約16万5,677トンで全体の約19%、3位のセルビアは年間約11万589トンで全体の約12%です。
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