アボカド 鰐梨 Avocado
基礎データ DATA
アボカドの概要
「森のバター」と呼ばれるアボカドは、栄養価が高くヘルシーな果実として人気です。まったりとした口当たりの果肉は甘味がほとんどなく、サラダやハンバーガーなどにも利用されます。わさび醤油をつけると「トロ」のような味がするというのも有名な話ですね。
現在、国内で売られているアボカドのほとんどが、メキシコ、ニュージーランド、チリなどからの輸入品です。メキシコ産はほぼ周年、ニュージーランド産は9月~12月頃に出回ります。また、わずかですが、和歌山県や愛媛県などで国内産アボカドが栽培されていて11月~2月頃に販売されます。
なお「アボガド」と発音しがちですが、正確な名称は「アボカド」です。
アボカドの歴史
アボカドは7000年以上前から栽培されているといわれますが、記録があるのは13世紀頃で、当時のインカ王の墓からアボカドの種が出土しているそうです。16世紀頃にアメリカに伝わり、さらにヨーロッパやオーストラリアなどにも伝播。日本に入ってきたのは100年ほど前のことです。
ちなみにアボカドの英名には「alligator pear(ワニの梨)」という別名があり、それを訳して和名では「ワニナシ」と言います。
アボカドの保存方法
- 果皮が黒いものは冷蔵庫の野菜室へ
- 果皮が緑色のものは常温で追熟
- アボカドの追熟には何度が適温?
- 未熟なアボカドを早く追熟させるには?
- ゆっくり追熟させるには?
- かたいまま冷蔵するとどうなる?
- 半分に切ったものは種付きのままラップ
- ペースト状にして冷凍保存
アボカドの保存方法を見る
アボカドの栄養と効能
おもな栄養成分(可食部100g中)
カリウム(720mg)、ビタミンE(3.4mg)、ビタミンB6(0.32mg)、葉酸(84mcg)、 脂肪酸総量(16.22g)、食物繊維(5.3g)
期待される効能
利尿作用、高血圧予防、動脈硬化予防、脳梗塞予防、心筋梗塞予防、がん予防、便秘改善
アボカドは非常に栄養価の高い果物です。がんや動脈硬化の予防、老化抑制などに効果があるといわれているビタミンEをはじめ、各種ビタミン、鉄やリンなどのミネラルも豊富に含んでいます。また、体内の余分なナトリウムを排泄してくれるカリウムも多いので、高血圧予防や脳梗塞予防、心筋梗塞予防などにも期待できます。
アボカドは「森のバター」と称される通り、脂肪分が多いのも特徴です。果肉の脂肪分はなんと20%近くもありますが、この脂肪分は血液をサラサラにしたり、コレステロールを減らす作用がある不和脂肪酸が主体なので健康的です。
また食物繊維も多く便秘予防にも効果的で、100gあたり187kcalという高エネルギーは夏バテ予防にも最適。まさにいいことずくめの果物といえるでしょう。ただし、特定の薬の成分を阻害する成分もわずかに含まれているので、療養中の人は医師に食べてよいかどうか相談してください。
より詳細な栄養成分については、「栄養成分(グラフ)」もしくは「栄養成分(一覧表)」に掲載しています。
栄養成分表を見る
アボカドの種類
ハス(Hass)
日本に輸入しているアボカドのほとんどがこの品種で、メキシコ産が9割を占めます。卵形で果皮がザラザラとしていて、果皮の色は未熟なときは緑、熟すと黒っぽくなるのが特徴。果肉は薄緑色で脂肪分をたっぷり含み、コクがあってネットリとした味わいです。醤油やマヨネーズ、オリーブオイルなどいろいろな調味料と相性が合います。
ベーコン(Bacon)
国内では11月から1月頃に収穫されるアボカドで、サイズは一般的なハス種に比べると少し大きく、重さは200~450gほど。果皮は濃い緑色で食べ頃になっても緑色のまま変化しません。果肉はクリーミーで甘味があり食味は優れています。
フェルテ
西洋梨形をした緑色のアボカドで、食べ頃になっても果皮は黒くなりません。果実のサイズは200~400gくらいと一般的な「ハス」と同程度ですが、タネが小さめで可食部は若干多くなります。なめらかな舌触りにほんのり甘味があって食味は良好。国内では11月頃から収穫が可能ですが、生産量が少ないためあまり流通していません。
ピンカートン
西洋梨を細長くしたような形のアボカドで、重さは250~400gほど。緑色の果皮は追熟しても黒くならず、果皮は少し厚みがあり、表面がザラザラとしています。果肉には油分が比較的多く含まれていて濃厚な味わい。国内での生産量はごくわずかですが、11月下旬から12月頃が収穫期となっています。
リード
球形のアボカドで、サイズは300~600gと大きめ。果皮は濃い緑色でやや厚く、食べ頃になっても果皮の色は濃緑のまま変わりません。日持ちがよく、熟すと果肉はクリーミーな食感で濃厚な味わいになります。流通量はわずかですが、アメリカ産と国内産のものが出回ります。
こだわりアボカド
こちらはメキシコ産のハス種ですが、成長促進剤などの農薬や化学肥料を使わず、栽培に手間をかけたアボカドです。樹上時間が通常のアボカドに比べて1~2か月長く、皮が黒みを帯びてから収穫するため、よりおいしいアボカドになります。
各地の年間収穫量 アボカド
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
また、ページ上部の「基礎データ」にある「おもな産地」の数値は、下表の割合(シェア)を四捨五入したものです。
出典:農林水産省統計
2021年のアボカドの収穫量のうち最も多いのは和歌山県で、約9トンの収穫量があります。2位は約8トンの収穫量がある愛媛県、3位は約1トンの収穫量がある宮崎県です。
栽培面積・収穫高の推移
出典:農林水産省統計
2021年のアボカドの栽培面積は約35ヘクタール。収穫量は約22トンで、出荷量は約18トンです。
アボカドの輸入先と輸入量
出典:財務省統計
アボカドは6か国から輸入されています。輸入先トップはメキシコで輸入量は約4万5,559トン、全体の70%以上を占めています。2位はペルーの約1万4,861トンで全体の20%以上を占めています。3位はオーストラリアの約794トン。4位は約339トンのニュージーランドと続きます。
年別輸出入量
出典:財務省統計
アボカドは海外から輸入されています。2023年の輸入量は約6万1,653トンで輸入額は約224億8,280万円です。輸入量は前年と比べると1万1,080トン(約22%)増加しています。
主要生産国(上位5か国)
出典:FAOSTAT(2021年)
アボカド生産の上位5か国は、メキシコ、コロンビア、ペルー、ドミニカ共和国、ケニアです。1位のメキシコの生産量は年間約252万9,581トンで全体の約28%を占めています。2位のコロンビアは年間約109万664トンで全体の約12%、3位のペルーは年間約86万6,457トンで全体の約10%です。
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