パパイア 木瓜(蕃瓜) Papaya
基礎データ DATA
パパイアの概要



トロピカルフルーツといえばパパイア(パパイヤ)を思い浮かべる人も多いでしょう。甘くて酸味が少なく、南国を感じさせてくれる香りとなめらかな舌触りが人気の果物です。スーパーなどで販売されているパパイアのほとんどがハワイとフィリピンからの輸入物になります。国内では沖縄県や小笠原諸島、南九州や太平洋側の温暖な地域で栽培されていますが、出荷量はそれほど多くはありません。
パパイアは別名「木瓜(もくか)」または「乳瓜(ちちうり)」ともいい、熱帯諸国や沖縄県では緑色の未熟な果実(青パパイア)を野菜として食べる習慣もあります。ちなみに「乳瓜」という呼び名は、パパイアの茎や葉、果実などあらゆる場所に「乳液」が多く含まれているからです。
パパイアの歴史


パパイアの原産地は中南米地方で、16世紀の大航海時代の頃にスペインの探検家が発見し、その後世界の熱帯地域に広まったといわれています。
日本には明治時代にもたらされ、沖縄県や小笠原諸島、鹿児島などで栽培が始まりました。市場に多く出回るようになったのは輸入が許可された1968年以降のことです。
パパイアの栄養と効能
おもな栄養成分(可食部100g中)
βカロテン当量(480mcg:黄肉種)、葉酸(44mcg)、ビタミンC(50mg)、マグネシウム(26mg)
期待される効能
貧血予防、高血圧予防、動脈硬化予防、脳梗塞予防、心筋梗塞予防、がん予防、風邪予防、美容効果、糖尿病予防、骨粗しょう症
パパイア(黄肉種)の色素にはビタミンA(レチノール)として働くβカロテンが多く含まれています。βカロテンには抗酸化作用があるので、脳梗塞や心筋梗塞などの予防に効果が期待できます。またがん予防に効果があるといわれるβクリプトキサンチンも豊富に含まれています。
一方、赤肉腫である「サンライズ・ソロ種」の場合はリコピンが多いのが特徴です。リコピンはビタミンAとしては働きませんが、抗酸化作用があり発がん性物質を抑える効果があるといわれています。
また、パパイアには妊婦や貧血気味の人に必要な「血を作るビタミン」である葉酸が多く含まれています。さらに風邪予防や美容効果が期待できるビタミンCや、糖尿病や骨粗しょう症の予防に期待できるマグネシウムも比較的多く含まれています。
沖縄料理などに使われる未熟果「青パパイア」には、タンパク質分解酵素である「パパイン」が含まれています。肉料理を食べた際の消化促進に一役買ってくれるでしょう。なお、パパインは熟す段階でどんどん減っていくので、完熟したパパイアにはあまり含まれていません。
より詳細な栄養成分については、「栄養成分(グラフ)」もしくは「栄養成分(一覧表)」に掲載しています。
栄養成分表を見る
パパイアの種類
ソロ

輸入パパイアの多くはこの「ソロ種」です。黄色い果肉はねっとりとした食感で甘味があり、酸味はほとんどありません。熟すにつれて果皮が黄色く変化し、栄養分のカロテンも増えます。一年中安定して輸入されているので、いつでもスーパーなどで購入できるでしょう。
サンライズ

「サンライズ・ソロ」はサイズが15~20cmくらいで果肉が赤いのが特徴。パパイア独特の香りはソロ種に比べて薄めで、糖度が高めでさっぱりとした口当たりです。出荷量は少なめですが、おもにハワイから輸入されています。また近年は宮崎県産のものも増えてきました。
青パパイヤ

皮が青い未熟な状態のパパイヤ。おもに料理用として利用します。東南アジアや沖縄などではポピュラーな野菜のひとつで、千切りにして炒め物やサラダ、スープなどに使われています。保存は常温で2週間程度が目安。アクが気になる場合は、千切りにしたあと水にさらしてから調理しましょう。
石垣珊瑚

石垣島で栽培されている種なしのパパイア。「ワンダーブライト」の自然交雑実生から選抜・育成された品種です。国際農林水産業研究センターの熱帯・島嶼研究拠点(石垣市)で育成され、2008年(平成20年)に品種登録されました。重さは800gほどで、果皮は鮮やかな橙色(完熟前は緑色が残ります)をしていて果肉は赤橙色。甘味は強めでまろやかな風味が味わえます。種がなく、パパイヤ特有の香りを抑えていて食べやすいのもポイントです。
各地の年間収穫量 パパイア
円グラフと下表の割合(%)が違うときは?
上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。
下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。
上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。
また、ページ上部の「基礎データ」にある「おもな産地」の数値は、下表の割合(シェア)を四捨五入したものです。
出典:農林水産省統計
2021年のパパイアの収穫量のうち最も多いのは鹿児島県で、約51トンの収穫量があります。2位は約39トンの収穫量がある沖縄県、3位は約33トンの収穫量がある宮崎県です。
栽培面積・収穫高の推移
出典:農林水産省統計
2021年のパパイアの栽培面積は約19ヘクタール。収穫量は約146トンで、出荷量は約141トンです。
パパイアの輸入先と輸入量
出典:財務省統計
パパイアはフィリピンとアメリカから輸入されています。フィリピンからの輸入量は約900トンで、全体の80%以上を占めています。アメリカからの輸入量は約155トンで、全体の約15%程度です。
年別輸出入量
出典:財務省統計
パパイアは海外から輸入されています。2023年の輸入量は約1,055トンで輸入額は約3億4,156万円です。輸入量は前年と比べると52.6トン(約5%)増加しています。
主要生産国(上位5か国)
出典:FAOSTAT(2021年)
パパイア生産の上位5か国は、インド、ドミニカ共和国、メキシコ、ブラジル、インドネシアです。1位のインドの生産量は年間約534万1,000トンで全体の約39%を占めています。2位のドミニカ共和国は年間約128万1,726トンで全体の約9%、3位のメキシコは年間約113万9,121トンで全体の約8%です。
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