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基礎データ DATA

サクランボの旬(出回り時期)

※これはサクランボの出回り量の割合をグラフ化したものです。農林水産省統計 青果物卸売市場調査 品目別:主要卸売市場計(2023年)を参考にしています

サクランボの概要

サクランボの果実 サクランボの木

サクランボという名称は、もともと桜の実を指す「桜ん坊」からきたといわれています。正式には「桜桃(おうとう)」といいますが、今ではサクランボの呼び名が一般的なので、当サイトでは「サクランボ」で紹介していきます。

サクランボの果樹にはいくつかの種類があり、食用として代表的なのは、甘味のある「セイヨウミザクラ(西洋実桜)」と、酸味の強い「スミミザクラ(酸実実桜)」、そして中国原産の「シナミザクラ」です。お店に並んでいるのはほぼセイヨウミザクラで、スミミザクラとシナミザクラは日本ではあまり栽培されていません。

また日本で流通しているサクランボには国産のものとアメリカ産がありますが、甘味はアメリカ産のほうが強く、国産のほうがさわやかな甘酸っぱさを持っています。どちらも美味ですが、やっぱり日本では上品で繊細な味の日本産サクランボのほうが人気が高いようです。

サクランボの歴史

サクランボの花 サクランボの木

サクランボは有史以前からヨーロッパ各地で自生していて、栽培も紀元前300年頃にはすでに行われていたようです。

日本では平安時代の書物「本草和名」に「桜桃」(和名 かにはさくらのみ)と記述されていますが、これは中国のサクランボ(シナミザクラ)だと考えられています。また「新刊多識編」(1631年)にも「桜桃」(にわさくら)という記述がありますがこちらも同様に中国の桜桃だと考えられています。

現在のようなサクランボが日本で栽培されるようになったのは明治時代初期のことです。アメリカやフランスなどの品種が導入され、それらが北海道や山形県などで定着。現在では山形県をはじめ青森県や山梨県などで栽培されています。

サクランボの栄養と効能

おもな栄養成分(可食部100g中)

カリウム(国内産:210mg、米国産:260mg)、葉酸(国内産:38mcg、米国産:42mcg)

注目成分

アントシアニン、ソルビトール

期待される効能

高血圧予防動脈硬化予防心筋梗塞予防脳梗塞予防貧血予防、眼精疲労(輸入物)、便秘改善

サクランボはカリウムの含有量が比較的多く、高血圧や動脈硬化の予防に期待できます。また、葉酸が比較的多く貧血予防にも効果的です。

輸入物のサクランボの色素にはポリフェノールの一種「アントシアニン」が含まれ、眼精疲労の軽減に効果があるといわれています。またサクランボに多く含まれる「ソルビトール」は虫歯予防にも使われている天然甘味料で便秘の改善に期待できます。

より詳細な栄養成分については、「栄養成分(グラフ)」もしくは「栄養成分(一覧表)」に掲載しています。

サクランボの種類

佐藤錦

佐藤錦

今やさくらんぼの代名詞ともいえる人気品種。親は「ナポレオン」×「黄玉」で、山形県の佐藤栄助氏によって育成され、1928年(昭和3年)に命名されました。果肉は乳白色で甘味と酸味のバランスがよく、食味に優れています。シーズンは6月中旬~7月初旬。

紅秀峰

紅秀峰

「佐藤錦」と「天香錦」を交配した品種で、1991年(平成3年)に品種登録されました。果皮はきれいな紅色で果肉はクリーム色。酸味が少なく糖度が高いため、食味に優れたさくらんぼとしてシェアを伸ばしています。出回り時期は7月上旬頃から。果実はややかたいので比較的日持ちするほうです。

高砂

高砂

高砂(たかさご)はアメリカ生まれのさくらんぼで、日本へは1872年(明治5年)に伝わりました。果肉は乳白色で果汁が豊富。甘酸が適和していて濃厚な風味です。出荷時期は6月中旬頃から。

ナポレオン

ナポレオン

粒がやや大きめでハート形をしたさくらんぼ。ヨーロッパでは古くから栽培されていた品種で、明治時代初期にアメリカから日本に導入されました。果肉はクリーム色で締まりがあり果汁が豊富。甘味と酸味のバランスがよく濃厚な味わいです。収穫時期は6月下旬頃から。

北光(水門)

北光(水門)

明治時代に北海道小樽市で発見された品種。品種名は「北光(ほっこう)」ですが、「水門(すいもん)」の名前で流通していることが多いです。果実の先端がややとがっていて果肉はやわらかめ。甘酸が調和した深みのある味わいが楽しめます。収穫時期は7月上旬頃から。

紅さやか

紅さやか

「佐藤錦」×「セネカ」の交配種で、1991年(平成3年)に品種登録されました。サイズは6g前後で、果皮は朱色から紫黒色、果肉はきれいな赤色です。適度な甘味と酸味があり、6月上旬頃から出回ります。

南陽

南陽

粒が大きめで甘味がしっかりあるさくらんぼ。果肉はややかためで果汁が豊富です。山形県で「ナポレオン」の自然交雑実生から誕生し、1978年(昭和53年)に名称登録されました。主産地の北海道では7月中旬から下旬頃に収穫されます。

香夏錦

香夏錦

親は「佐藤錦」×「高砂」で、1984年(昭和59年)に品種登録されました。果肉はやわらかめで、平均6gくらいの中サイズ。糖度は高めでやさしい酸味があります。6月上旬頃から収穫される早生種です。

正光錦(せいこうにしき)

正光錦(せいこうにしき)

「香夏錦(こうかにしき)」の自然交雑実生を育成した福島県生まれのサクランボ。1987年(昭和62年)に品種登録されています。粒は7~8gほどとやや大きめで、果肉は少しやわらかくてジューシー。酸味はまろやかで甘味の強い品種です。早生種なので6月上旬頃から収穫されます。

紅てまり

紅てまり

「ビック」と「佐藤錦」を掛け合わせて山形県で育成され、2000年(平成12年)に登録された品種です。サイズが約10gと大粒で、果肉は緻密で果汁が豊富。糖度が高くて適度な酸味もあり濃厚な味わいです。また、果実がしっかりとしているので日持ちがよいのも魅力。収穫時期は7月上旬頃からです。

大将錦

大将錦

山形県で発見された偶発実生を育成したもので、1990年(平成2年)に品種登録されました。発見された農園では「ナポレオン」や「高砂」「佐藤錦」などが栽培されていましたが、どの品種が交雑したのかは不明です。果実の外観は短心臓形で粒は10g程度と大きく、果肉はややかため。酸味が少なく甘味の多いサクランボです。晩生種なので7月上旬頃から出回ります。

ジャボレー

ジャボレー

フランス生まれで、1908年(明治41年)頃に日本に導入されました。果肉は赤くてやわらかく、甘さは控えめで酸味があります。収穫の時期は6月上旬頃と早め。

月山錦

月山錦

月山錦(がっさんにしき)は中国生まれの黄色いさくらんぼです。大粒で甘味が強く、酸味はほとんどありません。生産量が少ないため価格は高めですが、食味がよく見た目の珍しさで贈答用としても利用されています。収穫時期は6月下旬~7月中旬頃です。

豊錦(ゆたかにしき)

豊錦(ゆたかにしき)

おもに山梨県で栽培されている早生種のさくらんぼ。「ジャボレー」や「高砂」「ナポレオン」などを栽培している農園で偶発実生として発見され、1986年(昭和61年)に品種登録されました。果肉がやわらかく、ほどよい甘味があり酸味はおだやかです。収穫時期は5月下旬~6月上旬頃。

アメリカンチェリー

アメリカンチェリー

アメリカで栽培されているサクランボで、粒が大きくて酸味が少なく甘味が強いのが特徴。価格が国内産に比べて手頃なのが魅力です。果皮が黒っぽい濃赤色の「ビング」と、赤色の「レーニア」が代表的な品種で、このほかにも「ブルックス」や「ツラーレ」などの品種があります。

各地の年間収穫量 さくらんぼ

円グラフと下表の割合(%)が違うときは?

上の円グラフの割合(%)と下の表の割合(%)の数値が違うことがありますが、その場合は下表のほうが正しい数値です。

下の表は出典である農林水産省のデータに記されている「全国の合計値」から割合を計算したものです。

上の円グラフも農林水産省のデータですが、こちらは全国ではなく主要生産地のみのデータなので、値が公表されていない都道府県は含まれていません。

また、ページ上部の「基礎データ」にある「おもな産地」の数値は、下表の割合(シェア)を四捨五入したものです。

出典:農林水産省統計

2022年のさくらんぼの収穫量のうち最も多いのは山形県で、約1万2,400トンの収穫量があります。2位は約1,530トンの収穫量がある北海道、3位は約535トンの収穫量がある山梨県です。

栽培面積・収穫高の推移

出典:農林水産省統計

2022年のさくらんぼの栽培面積は約4,230ヘクタール。収穫量は約1万6,100トンで、出荷量は約1万4,500トンです。

品種ごとの作付面積

出典:農林水産省統計

2021年のさくらんぼの作付面積は、1位は佐藤錦で約2,339ヘクタール。佐藤錦だけで全体の60%以上を占めています。2位は紅秀峰で約549ヘクタール。3位は高砂、4位は紅さやかとなっています。

サクランボの輸入先と輸入量

出典:財務省統計

さくらんぼは5か国から輸入されています。輸入先トップはアメリカで輸入量は約1,984トン、全体の80%以上を占めています。2位はチリの約189トンで全体の約8%程度です。3位はニュージーランドの約87トン。4位は約64.5トンのカナダと続きます。

サクランボの輸出先と輸出量

出典:財務省統計

2022年には6か国に輸出され、トップは約800キロの香港です。2位は約762キロのシンガポール、3位は約644キロの台湾と続きます。

年別輸出入量

出典:財務省統計

さくらんぼは輸入と輸出が行われています。2022年の輸入量は約2,369トンで輸入額は約43億1,151万円。輸入量は前年と比べると3,458トン(約59%)減少しています。また、輸出量は約2.9トンで輸出額は約1,268万円。輸出量は前年と比べると2.3トン(約376%)増加しています。

主要生産国(上位5か国)

出典:FAOSTAT(2021年)

サクランボ生産の上位5か国は、トルコ、チリ、ウズベキスタン、アメリカ、スペインです。1位のトルコの生産量は年間約65万6,041トンで全体の約24%を占めています。2位のチリは年間約44万3,067トンで全体の約16%、3位のウズベキスタンは年間約21万6,867トンで全体の約8%です。

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